今回は給料が安いことで有名な病院薬剤師として働いている私のリアルな年収を公開していきます。給料について触れるのは世の中的にタブーと思われていたり、公開されていたとしても情報に信憑性がなかったりと、正確な情報を得ることが難しいのが現実です。私が就活をしている時も病院薬剤師の年収はブラックボックスに近い状況だったので、この記事を読むことで病院に就職したいけど給料が不安だと思っている人の助けになると思います。
目次
前提
本記事では私の年収を公開していきますが、個人情報が多く含まれるため、源泉徴収などの画像は添付できません。
したがって、見方によっては私が勝手に言っていることで根拠のないデータと捉えることもできなくありません。
ただ、私はできる限り正確な情報を載せるつもりです。
就職や転職で病院が気になっているけど給料がなぁ・・・と思う人はそれなりにいると思います。
そんな人たちに7年目の平薬剤師がこれくらい貰ってるのか~と思ってもらい、病院薬剤師が職業の選択肢になることを切に願っています。
また、病院薬剤師の年収は公立、私立、学校法人などで大きく変わってくるため、あくまでも都内の某私立大学病院(分院)に勤務している私の年収であることをご承知おきください。
業務内容、年間休日
詳しい業務内容については以下の記事をご覧ください
勤務体制は基本カレンダー通りですが、ゴールデンウイーク、シルバーウイーク、年末年始などの大型連休では必ず中日で出勤があります。
また、第1、3、5土曜日は半日勤務です。
法定休日、祝日に日直として出勤することも月に1回ほどはあるため、年間休日は100日ないでしょう。
有休消化は・・・少しはできます。
年間20日付与されますが、10日使えればいい方かなって感じです。
夏季休暇が5日付与され、これは確実に取ることができます。
ただし、業務の都合上、まとめて1週間としてしか取れません。
残業は少なめかもしれませんが、概ね月10~20時間でしょうか。
年収推移
私は公務員ではありませんが、私の勤務先では俸給表を用いて給料が設定されています。
結局年功序列がゴリゴリに残っている病院なので、長く勤めればそれなりにもらえるようになりますが、若いうちはなかなか年収は上がらないのが現実です。
毎年概ね3%程度の昇給となっていますので、1年毎に基本給が約7000円ー8000円程上がっていきます。
ゴールデンウイークや年末年始には中日に出勤があり、そこでの労働は全て残業代として処理されるため、年収にはそれらで発生した給与も含まれています。(単純に月収を12かけした値ではありません)
記載しているのは全て額面年収です。手取りは約0.8を掛けた値ですね。
1年目(25歳) 2017年

1年目の基本給は217800円で、これに住宅手当23000円、通勤手当4000円、その他3000円程度で額面月収は約24万円程度でした。
ボーナスは夏が寸志で7万円、冬は基本給の2.7ヵ月分で588060円程でした。
1年目はほぼ残業が無かったため、12月までは月収24万円でした。
年明け1月から当直(夜勤)が月に2回始まったので、当直手当で月収が26万円程度に増えました。
1年目の年収は、約425万円でした

図を見ると病院薬剤師の平均年収は何とか超えていた感じですね。
やはり、薬局、ドラックストアよりも安いのは仕方ないのかもしれません。
6年間それなりに忙しい学生生活をこなし、それなりに難しい国家試験を突破してもこの程度の年収だとちょっとコスパは悪いなと言わざるを得ません。(学費も高いですし)
まあ2年目以降はボーナス満額支給だしきっと上がるでしょう!と期待して見ていきましょう
2年目(26歳) 2018年

基本給は224800円でした。住宅手当、通勤手当は変更ありません。
当直は月2回必ず入っていたので、当直手当がありがたかったですね。(体はきついですが)
残業が月に5-10時間ほど発生するようになり、月収は約29万円程度でした。
また、2年目は念願のボーナス満額支給でした。
年間ボーナスは1165000円でした。一気に跳ね上がりましたね。
うちの病院ボーナスだけは高いんですよね~ 基本給クソ安いけど・・・
↑この記事でも書きましたが、ボーナスが高いというのは素直に喜ぶべきことではありません。
ボーナスとは本来私たちに月収として支払われるお金を月々支払わずに遅らせて渡しているだけです。
ボーナスが多いからこの会社はいい!とか思っているのなら考えを改めるべきです。
話が脱線しましたが、2年目の年収は約4640000円でした。
ボーナス満額支給のおかげでそこそこ増えましたね。
ただ、冷静にならないといけないのが、薬剤師2年目ってストレートで卒業&合格したとしても26歳なんですよね。

私は都内在住ですので、一応比較対象として上の図を貼ってみました。
東京都で25~29歳の平均年収は444万円ですので、まあ平均ちょい上くらいのところでしょうか。男性だと平均より低いですね・・・
薬剤師は普通の社会人より社会に出るのが2年遅れているため、この程度の差だと割に合わないような気もします(笑)
3年目(27歳) 2019年

正直ここからは定期昇給分しかないのであまり面白みはありません。
基本給は232800円でした。
ただ、残業が10ー20時間に増えたのでそれに応じて少し月収も増えました。
ボーナスの割合は一定だったので、基本給の上昇分だけ増加していました。
月収は約30万円でした。
年収は約480万円でした。
この頃は業務の忙しさもさることながら、上司からのパワハラが酷く、給与が割に合わないほど精神的に参っていましたね。
4年目(28歳) 2020年

4年目は2020年です。2020年と言えばアレですよね?
そう、コロ助こと新型コロナウイルスのパンデミックです。
私は腎臓内科、腎臓外科病棟をメインで担当していましたが、コロナ患者が爆増した関係で、担当病棟がコロナ専用病棟となり、いつのまにかコロナ担当薬剤師となっていました。
当時は未知のウイルスということで完全防備で危険エリアに入って仕事をしなくてはならず、これまたストレスが半端なかったです。
業務手順なども一般病棟とは異なり、どうすれば効率よくかつ安全に業務がこなせるかを看護師さんたちと話し合う日々、一般病棟だったらやらなくてもいいことが山ほどあり、なんて自分はついていないんだ~と境遇を悔やみました。
しかも不公平だったのが、医師、看護師にはコロナ手当という特別手当が支給されていましたが、実際に患者の元に行っているにも関わらず、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師などのコメディカルには支給されませんでした。
これは本当にひどい話です。本当にこんなとこやめてやろうかと思ってました。
コロナ病棟の看護師さんは正直かなり大変だったと思いますし、手当を出すべきだとは思いますが、コメディカルに全く出さないというのは本当に舐め腐ってますよね
話が脱線しましたが、基本給は241800円でした。
月収は残業時間が減っていたこともあり大して増えておらず30万円程度でした。
ボーナスには全職員一律のコロナ手当が支給されたため、例年よりもややボーナスが多かったです。(全員一律じゃなくて俺によこせやこら)
なんだかんだで年収は約500万円でした
ここでようやく大台に乗りましたね。
30歳までに年収500万円いきたいな~と思っていたので、想像よりも少し早く到達できました。
5年目(29歳) 2021年

コロナ担当は1年半で開放され、その後は一般病棟で働くことになりました。
上司のパワハラもなくなり、精神的には落ち着いていた時期だったと記憶しています。
基本給は250200円でした。
月収は概ね31ー33万円でした。
年収は約520万円でした
残業が多く、年収がグッと上がりました。体はボロボロでした。
まだコロナ患者は多く、またまたボーナスにコロナ特別手当が一律で支給されたのも年収が上がった影響と考えます。
2021年は私が投資を始めた年でもあります。懐かしいですね~
始めた時の総資産は607万円でした。それが今や1500万円を超えるまでに成長しました。
ずっと続けてきた節約に加えて投資という新たな武器を手に入れたこともあり、3年で900万円資産を増やすことができました。素直にすごいと思います。
6年目(30歳) 2022年

ついに30歳になってしまいました。
基本給は259100円でした。
残業時間は大きく変わらずでした。(概ね月20時間程度)
年収は539万円でした
グッと増えましたがなぜ増えたのかよくわかりません。
残業に加えて、休日出勤が増えたことも要因かもしれません。
余談ですが、この年に結婚しました。
7年目(31歳) 2023年

7年目とはすなわち現在です。
まだ3月分の給与が残っているので正確にはわかりませんが、今年の2月の給与までを足し合わせるとすでに517万円でした。
基本給は267800円です。
残業が多く、月収は概ね35万円程度で推移しています。
現在までの合計(517万円)に35万円を足すと約552万円となります。
7年目となるともう中堅薬剤師です。
薬局勤務の人であれば管理薬剤師や薬局長をやっていてもおかしくない年齢です。
薬剤師の平均年収(年齢別)↓

30~34歳の平均は564万円ですので、31歳の現時点で妥当と考えます。
額面年収が552万円でも、手取りにすると約442万円です。
ここから、家賃、食費、車維持費などの生活コストを差っ引くと、決して贅沢はできません。
それどころか油断するとすぐにお金は無くなってしまいます。
これからも財布の紐をきつく締めて節約に励みます。
おすすめできる人
病院薬剤師の年収は年功序列の影響が大きく、若いうちはなかなか上がらないと言えます。
大学を卒業してすぐにそれなりの給料が欲しい人にとっては病院薬剤師はやや不向きと言えます。
逆に言えば、ずっと務められる職場を見つけられれば、将来的には薬局、ドラッグストアの薬剤師を凌駕する可能性も大いにあります。
以下に病院薬剤師をおすすめできる人の特徴を示します
- ・最新の治療法に携わりたい
- ・注射剤を用いた治療に携わりたい
- ・臨床研究などをしたい
- ・服薬指導が好きではない
- ・給料よりもやりがいを求める
私が今の職場を続けてこれた一番の理由は人間関係が良好だからです。
仲のいい先輩や同期と釣りに行ったりキャンプに行ったり、時には愚痴を言い合ったりと楽しく過ごせる仲間がいることは仕事を続ける上で大きな活力となります。
上京して近くに友人もいなかった私でしたので、こういった人間関係は非常に大切でした。
病院は職場にもよりますが、良くも悪くも薬剤師の人数が多いところが多く、部署もそれなりに広いので閉鎖的な空間になりにくいです。
薬局は店舗自体が小さいところが多く、薬剤師数も少ないため、一度人間関係が悪くなったり、パワハラ上司に遭遇してしまうとエスケープが難しくなります。
病院にもやばい人はいますが、意図的に接触を減らすことができます。
自分で勉強してある程度知識、経験を付ければ自分一人で問題を解決できるケースが増えますからね。
ただ、年功序列なので、明らかに自分より仕事していない上司が自分より1.5倍くらい給料を貰っていると思うと切なくなります。
話が逸れましたが、おすすめできる人は上記の通りで、私自身、別に病院を特別おすすめしているわけではありません。
ただ、薬局より給料が低いからという理由だけで病院を敬遠しているのなら、それは違うとお伝えしたいです。
私自身はあまり患者と話すのが好きではないので、カルテをじっくり見て、気になったところ、もっと良くできそうなところを見つけて医師に提案したり、看護師に薬剤情報を共有したりする現在の仕事の方が薬局より向いている気がします。
メーカー勉強会の開催頻度も薬局より高いと思いますし、学会参加などもやはり病院の方が多いです。
私も研究のサポートとしてデータを処理したり、学会発表をしたりとそれなりに大学病院の薬剤師っぽいことをできていますのでやりがいという点で言えばあるとは思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は病院薬剤師のリアルな年収と病院薬剤師がおすすめできる人について解説してみました。
いくら資産形成について語っても「お前は給料が高いからできるだけだろ!」と言われたら元も子もないですからね。
でも、見ていただければわかるように、私の年収は都内の31歳という条件下では決して高いとは言えません。(平均的)
都内なので家賃もそれなりにしますし、車の維持にもお金がかかります。
一般的にはどの職種においても都心部に近づくほど年収は高くなりますので、単純に年収を上げたいのなら大きな都市に住むことが手っ取り早いです。求人も多いですし。
逆に言えば、田舎でも家賃が安くて全体的に生活コストが抑えられれば、年収350~400万円程度でも私と同じような資産形成は可能と考えます。
重要なのは生活コストを上げずに資産形成ができるかという点であり、生活コストを上げないことは年収を上げることよりも簡単です。
まずは節約にフルコミットし、余力が出来たら年収を上げるために努力をしてみましょう
最後まで読んでいただきありがとうございました。