薬学部

【体験談】病院薬剤師が企業へ転職!年収100万円ダウンでも幸福度が爆上がりした理由

丸8年間勤めた東京の大学病院を辞め、私は今年の5月に北海道へ移住し、全く新しいキャリアをスタートさせました。

前職は高給でしたが、「当直、残業、休日出勤」が当たり前の激務。一方、転職後の職場は「残業ゼロ、年間休日130日超、完全週休二日制」の絵に描いたようなホワイト企業です。

なぜ、私はあえて年収を下げてまで転職を決意したのか?そして、「やりがい搾取」が蔓延する病院という職場から、ゆとりと余裕がある一般企業へシフトすることで見えてきた薬剤師の市場価値病院経営の構造的な問題を、この転職体験記を通して赤裸々に解説します。

  • 転職の全ステップ: 大手薬剤師転職エージェント(薬キャリ、ファルマスタッフ)の活用法と、ハローワークで見つけた穴場求人
  • 病院の闇: 診療報酬制度に縛られ、なぜ病院薬剤師の待遇は低く、激務になりがちなのか
  • 人生観の変化: ストレスフリーな環境で気づいた「FIRE計画中止」も視野に入るほどの幸福度

今の職場に不満がある方、自分の市場価値に疑問を持っている方は、ぜひ私の転職プロセスと「ゆとりある働き方」の現実をご覧ください。

はじめに

私は東京の大学病院で新卒から8年間、腎臓内科・腎臓外科を中心に病院薬剤師として勤務してきました。

しかし今年の5月、思い切って北海道へ移住し、3月末で前職を退職。6月に転職活動を行い、7月から新しい職場で再スタートを切りました。

本記事では、実際に転職を経験した立場から、
病院薬剤師の転職で感じたリアル」や「今後の薬剤師の働き方」について、私自身の考えをまとめています。

あくまで一個人の体験談ですが、これから転職や地方移住を考えている薬剤師の方に、少しでも参考になれば幸いです。

転職活動の流れと実体験

私の場合は、退職後に時間をかけて転職活動を行いました。
一般的には在職中に転職活動を進める方が多いと思いますが、基本的な流れは同じです。

以下では、薬剤師が転職を進めるうえでのステップを、私の体験を交えて紹介します。

① 転職サイト・エージェントの登録

ビズリーチとかDodaとかいろいろあると思いますが、医療従事者には医療系の転職エージェントと言うのが存在し、そちらを利用した方が効率よく転職活動を行えると思います。

私は薬キャリエージェントファルマスタッフという大手2社を利用しました。

https://agent.m3career.com ←薬キャリエージェント公式サイト

https://www.38-8931.com ←ファルマスタッフ公式サイト

どちらも薬剤師専門で、担当者が条件に合う求人を探してくれます。

薬キャリはm3キャリア(医師・薬剤師向けメディア「日経DI」「日経メディカル」運営)の大手、ファルマスタッフは日本調剤グループの転職支援会社で、薬局求人に強いのが特徴です。

私は比較サイトで1位と3位に掲載されていたこの2社を選びました。
特に企業薬剤師の求人を扱っていたファルマスタッフに惹かれ、併用する形で登録しました。

② 希望条件の整理と面談

登録は非常に簡単で、ネット上で必要情報を入力するだけです。

登録が完了すると担当の方からメールか電話が来るので、希望条件などを細かく伝えたりして、条件に合った求人を探してもらいます。

登録後は担当者から連絡があり、希望条件をヒアリングされます。

私は「年収が多少下がっても、完全週休2日・夜勤なし・通勤30分以内」という条件で依頼しました。

エージェントとの面談では、キャリアの方向性や希望を1時間ほど話し合いました。
数日後には条件に合った求人を紹介してもらえます。

希望条件は次のような項目を整理しておくとスムーズです。

  • 年収
  • 勤務時間・休日
  • 通勤時間
  • 夜勤・残業の有無
  • 職場の種類(病院・薬局・企業など)
  • 今後のキャリヤ

③ 求人紹介・応募・面接まで

当初は企業薬剤師を希望していましたが、求人数が非常に少なく断念。
病院薬剤師として再スタートする方向で再度求人を探しました。

病院で年収500万円以上・夜勤なし・完全週休2日・通勤30分以内」という条件で探しましたが、すべてを満たす求人はほとんどありませんでした。

ハローワークも併用し、最終的にはエージェント経由2件、ハローワーク経由1件(企業)の面接を受けました。

採用結果と最終的な職場選び

2つの病院から内定をいただきましたが、最終的には企業薬剤師としての内定を選びました。
通勤は片道1時間かかりますが、以前から興味のあった業界で働けることが決め手です。

年収は前職より100万円近く下がる見込みでしたが、夫婦で相談のうえ、
収入よりもワークライフバランスを重視する」という方針で納得して決めました。

北海道では電車通勤の混雑も少なく、意外と快適に働けています。

転職エージェント使って感じたこと(おまけ)

私は今回の転職で、薬キャリエージェントファルマスタッフを利用しました。
結論から言うと、「ここまで無料でやってくれるの!?」と驚くほど手厚いサポートでした。

無料なのにここまでしてくれる!エージェントのサポート内容

エージェントは求人の紹介だけでなく、面接日程の調整・職場見学の送迎・面接同行までしてくれました。

特に薬キャリの担当者は、Zoomでの面接練習まで実施してくれて、ブランクがある私には非常にありがたかったです。

さらに、給与や残業など私が聞きづらい質問も代わりにしてくれ、まさに至れり尽くせりの対応でした。

そこまでしてくれてお金とか掛からないの?と思われる方も多いと思いますが・・・

お金は一切掛かりません!!

もちろん、集合場所までの電車賃などは多少掛かりますがその程度です。

転職エージェントが無料で使える理由

なぜこれほどまで充実したサービスなのにお金が掛からないのか・・・

それは、転職エージェントと言うのは斡旋会社というビジネスモデルだからです。

わかりやすく言うと、転職エージェントの収入源は紹介した人が就職する企業(施設)だと言うことです。

人材が欲しい現場(会社・施設など)は自社の公式HPなどで採用情報を出しますが、それではなかなか人が来てくれないのが実情です。

そこで、ハローワークやエージェントなどのサービスを利用して働きたい人と繋がる機会を獲得するのです。

ハローワークは公共事業なので高額な紹介手数料などは掛かりません。(事務手数料などはあるかもしれませんが)

企業が支払う紹介手数料の仕組み

某サイトによると、紹介手数料は紹介した人材の年収の30~40%程度と記載がありました。

つまり、年収500万円の人材を紹介した場合、150~200万円の紹介手数料が企業からエージェントに支払われます。

紹介手数料は高額ですが、採用したい企業側がエージェントを利用するメリットは人材獲得の確率が上がるだけでなく、いい人材を紹介してもらえる可能性があるというのもポイントです。

そのため、企業は人を雇うのにかなりのコストを掛けていると言うことを覚えておきましょう。

一般的に紹介手数料と言うのはエージェントが紹介した人が内定し就職した時点で発生するもののようですが、もしかしたら面接を受けて内定が出た時点で一時金みたいなのが出るのかもしれません。(エージェント2つとも内定は断ってもいいから面接は受けてほしそうな空気は出していました)

もしくはノルマ的なのがあって面接まですると歩合が上がるのか・・・詳しいことはわかりませんが笑

利用して感じた率直な印象

転職活動の最終的な内定はハローワーク経由の求人でしたが、
2社のエージェントには終始丁寧に対応していただきました。

お断りの連絡をした際も「納得のいく転職ができてよかった」と言ってくださり、
最後まで誠実な対応に感謝しています。

一般企業で薬剤師として働き始めて感じたこと

採用試験を経て、ついに新しい職場へ

厳しい採用試験を乗り越え、7月から新しい職場での薬剤師生活がスタートしました。
業種は非公開ですが、病院でも薬局でもなく、一般企業の薬剤師職です。

病院でも薬局でもない──薬剤師として企業勤務を選んだ理由

仕事内容は従来の薬剤師業務とはまったく異なり、基本的にデスクワーク中心。
上司による管理もなく、先輩と協力しながら同じ立場で仕事を進めています。
医療現場を離れても薬剤師の資格を生かせる仕事がある」──これが最初の驚きでした。

勤務時間・休日・年収のリアルな実態

勤務時間は17時までで、残業ゼロ。完全週休二日制で、祝日・年末年始・夏季休暇もあります。
年間休日は130日を超え、有給も自由に取得可能です。

年収は概算で460〜480万円ほど。前職(560万円)より100万円ほど下がりましたが、
夜勤・残業・休日出勤がなくなった分を考えると、十分納得できる水準です。

定期昇給は年に1回3.5~4%あるので、長く勤めれば平均と比較して特別低いと言うこともなさそうです。

激務からの解放と、年収ダウンのバランス

前職では当直や休日出勤が当たり前でした。
今は心身ともに余裕が生まれ、生活の質が大きく向上しました。
年収を少し下げてでも時間を取り戻す」という選択に後悔はありません。

薬剤師の「穴場的な働き方」はもっと知られるべき

北海道に来てから、薬剤師の需要や年収の地域差を強く実感しました。
都市部は薬剤師が飽和しており、年収が下がる傾向にあります。
それでも、企業勤務など“穴場”の働き方を探せば、無理なく続けられる道はあります。
「薬剤師=病院か薬局」という固定観念を、一度見直す価値があると感じています。

転職して感じたこと ― 病院から企業へ、世界が変わった

驚くほどホワイトな環境

上述したように、私の就職先は絵に描いたようなホワイト企業でした。

身バレ防止のためこれまた詳細は言えませんが、一応東証一部上場企業であり、何気に時価総額も兆を超えていました。(就職してから気が付きました)

なんかぬるっと就職しましたが、これもしかして新卒だと入るの難しいのでは?と入ってから思い始めました。

転職した感想としては・・・

控えめに言って最高です!!

なんというか全体的にスタッフ一人一人にゆとりというか余裕があり、怒っている人とかを見かけません。

ストレスゼロの職場に感じた「文化の違い」

1日の中で暇な時間帯とかもあり、その時間はみんなどことなくまったりしている状態で、もれなく私もPCを見ながらのんびりしています。

前職では、薬剤部もどこか殺伐としていましたし、病棟でも医師・看護師は常に仕事に追われている状態でした。

今の職場はセルフで小休憩が認められているので、疲れたら自己判断で少し席を立ってリフレッシュしたりもできますし、仕事中に暇になったら少し談笑する余裕さえあります。

以前は常にPHSを持っていたので、休憩時間でも電話は掛かってきますし、帰ろうかなと思った頃に電話が鳴って残業が発生したりなんてこともざらにありました。

働き始めてまだ1カ月ですが、正直仕事に対するストレスが全くと言っていいほどありません。

もちろん、通勤に関するストレスは多少ありますが、全然気にならないレベルです。

以前はあんなにFIREしたかったのに、別にこの仕事だったら続けられるぞ?とまで思えてきて、FIRE計画を中止しようかと思えるレベルです。

病院薬剤師を苦しめる“やりがい搾取”の構造

前職がなぜあんなにしんどかったのか・・・それは病院のやりがい搾取が蔓延っているという現状が影響していると考えます。

医療系コラムで見ましたが、昨今病院を志望する薬剤師が減少しているそうで、全国的に深刻な病院薬剤師不足だそうです。

要因としては安月給、激務、責任の重さなどが挙げられていましたが本当にその通りだと思います。

幸い、私の前職は給与については病院の中で高めの水準でしたが、一般的に病院薬剤師の給与は薬局や企業よりも低いです。

診療報酬という仕組みが生む理不尽

理学療法士のように「何分リハビリをすれば◯点」という明確な算定構造があれば、
努力次第で収益に貢献できます。

しかし薬剤師の場合、算定できる業務は限られ、
薬剤管理指導料」など一部に留まります。
しかも算定条件が厳しく、件数を増やすにも限界がある。

それでも病院上層部からは「指導件数を増やせ」と指示が出る。
結果、残業が増えるか、指導の質を下げるかの二択
現場の疲弊は加速する一方です。

中には「形式だけの指導」で算定を取る施設もあると聞きます。
これは医療の本質を損なう行為であり、
ノルマ化された医療」がどれほど危険かを示しています。

経営難とモチベーション低下の悪循環

昨今は赤字経営の病院が爆増しており、医療崩壊がじわじわと進んでいるとも言われ、病院も経営をする以上は売り上げを出してもらわないと困ります。

赤字の背景には物価や人件費の高騰によるコスト増に診療報酬が追いついていないことが考えられますが、従事者を削減すれば現場は回らなくなりますからいずれにしてもジリ貧です。

私は昨今の医療情勢を踏まえて、医療現場で薬剤師として働き続けることに疑問を感じていました。

医療現場の未来に感じた限界

薬剤師として臨床でプロフェッショナルを目指すほど体力的・金銭的にも不利になるというこの理不尽極まりない現状に直面し、キャリア形成・資産形成の観点から転職を決意しました。

上述しましたが、現在の職場は大企業に属する会社であり、資産規模で言えば病院の比ではありません。

資本主義のこの時代、多くの資本(お金)を持っている会社の強さは尋常ではありません。

前職の病院は大学病院で地域でも中核病院と言われる規模のそこそこ大きい病院でしたが、ここ数年は毎年のように赤字なのでもっと頑張れ的な指示が上層部から告げられ、やれコスト削減だ、算定件数アップだと躍起になっており、職員のモチベーションも下がっていたように感じます。

私が働いていた時は賞与もかなり出ていましたが、赤字が何年も続くのであれば賞与とか言ってられないと思うのでそのうち減るんじゃないでしょうか。

前職は病院の中ではやや高給な職場だったので、お金目当てで働いていた看護師も多かったと思います。

そんな人たちが賞与を削減されたらどうなるでしょうか・・・

看護師の大量離職→捌ける患者数の減少→病院の利益減少→以下ループ

ただでさえ看護師の離職率は前の職場の大きな問題であり、新卒でたくさん採用しても3年後に残る人は半分もいないのが現状です。

それほどキツイ職場環境で収入まで減らされたらたまったもんじゃありませんよね。

これで残るのはそれこそプロ意識が高く、医療に対して前向きな人だけです。

そういう人は本当に素晴らしいと思いますが、やりがい搾取の格好の的でもあります。

ちなみに医師でも薬剤師でも同じことが言えます。

ただ、マンパワーを失うのが最も危機的状況なので、看護師の待遇を悪くする病院は一気に傾きます。

とまあここまでごちゃごちゃと言ってきましたが、何が言いたいかと言うと

やりがいだけでは医療従事者を続けていくのは厳しいと言うことです。

上がらない診療報酬(給与)膨れ上がる経費増大を止めない社会保障費高度化する医療クレーマーチックな患者の増加など現代の医療は様々な問題に直面しています。

これをすべてやりがいでカバーするのはどう考えても無理ですよね?

病院薬剤師は数年修行して薬局などに転職してしまうことが多いそうで、せっかく人材育成をしても残ってもらえず、採用コスト・育成コストだけがのしかかってきます。

私が現役で就活しているころはまだ病院も人気があったので、それなりの選考(学力テスト、面接)で選ばれた人が入職できるといった感じでしたが、前職でも数年前からはとにかく応募してきてくれて、国家試験にさえ受かってくれればOKみたいになってきたので、学力とか人間性とは四の五の言ってられなくなってきたんだと肌で感じました。

最後に― 違和感を感じたら、立ち止まっていい

今の職場に不満がある人はもちろん、
「特に不満はないけれど、将来が見えない」と感じている人も、
転職を選択肢に入れてみる価値は十分にあると思います。

私は前職に8年間勤めましたが、後悔はしていません。
多くを学び、臨床の現場で得た知識や経験は今も大きな財産です。

ただ、一つの職場に長くいると、
自分の市場価値が分からなくなったり、
その職場の“異常さ”に気づけなくなることがあります。

転職は“逃げ”ではなく“選択”

「やりがい搾取」のある職場では、
“仕事とはこういうものだ”と信じ込まされ、
無意識のうちに価値観をすり替えられてしまうこともあります。

社会人として立派に働いているようで、
実際は“組織に都合の良い人材”として扱われている──
そんなケースも少なくありません。

一度立ち止まる勇気が、自分の市場価値を高める

もし今の職場に少しでも違和感を覚えたなら、
「自分はどんな人生を送りたいのか」を立ち止まって考えてみてください。
そして、今の環境でその未来が実現できるのかを問い直してみましょう。

仕事と転職活動を並行するのが難しい人は、
私のように一度退職して失業給付を受けながらじっくり探すのも選択肢の一つです。

焦らず、自分に合った環境を見つけること。
それが、長く幸せに働き続けるための第一歩だと感じています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ABOUT ME
hiropon
初めまして。ヒロポンです。 新卒から大学病院8年間勤務し、転職して現在は企業薬剤師をしています。 医療や健康についての情報発信をしたいと思いブログを始めました。 定期的に皆さんの健康に寄与する記事を更新しますので、よろしくお願いします。