健康

腹八分生活で心と体の健康が手に入る理由

今回は、体にいいらしいと言われているけどなかなか実践できない食事法である「腹八分」について、その健康効果、様々なメリットについてご紹介します。この記事を読むことで腹八分生活を取り入れ、健康的な体を手に入れましょう!




腹八分とは?

そもそも腹八分とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか?

実は明確な定義はなく、あくまでもその人のおなかのキャパからみて八割程度とされています。

抽象的な表現をすると、「もうお腹いっぱい!これ以上食べられないよ!」というのが腹十分で、「もう少し食べられるけど満足はしてるかな~」というのが腹八分です。

昔から「腹八分は医者いらず」なんて言われるほど健康に寄与していると考えられている腹八分ですが、あくまでもふんわりとした食事制限といったところです。

より具体的に腹八分を目指したいという意識の高い方は、現在の自分の1日摂取カロリーに0.8を掛けた値を目標としてください。

別の記事でも書きましたが、成人男性、女性には目標摂取カロリーというものがあり、年齢、身長、体重、活動レベルを用いて健康を維持するのに必要なカロリー数を計算することができます。

そもそもこの値を目標にして食事を考えている人は食べ過ぎたりしないとは思いますが、自分の目標摂取カロリーを計算し、実際に摂取しているカロリーを調べてみて、オーバーしている場合はまずは0.8を掛けた値を目標にすることで、数値的に腹八分とすることができるでしょう。

腹八分のメリット

腹八分のメリットは主に3つあると考えています。

①健康効果

当たり前ですがこれが最も大きい効果です。

先に紹介した記事でも書いていますが、健康を維持する上で肥満というのはあってはならない状態です。

厳しいことを言うようですが、肥満の人は自分の欲望をコントロールできていない人だと私は思ってしまいます。

肥満は多くの病気の原因であり、現代人の死因の多くは生活習慣の乱れからきています。

生命保険文化センターHPより引用

死因第1位は悪性新生物(癌)であり、第2位に心疾患、第4位に脳血管疾患が続きます。

これらの多くは肥満、高血圧、糖尿病、運動不足などが大きく関わっており、生活習慣によってその人の寿命が決まると言っても過言ではありません。

肥満は万病のもとであり、多くの体調不良の背景に肥満が潜んでいます。

自分の必要摂取カロリーをきちんと把握し、それに基づいた食事を摂っていれば太ることなどあり得ませんから、己を見つめなおすという意味でも腹八分生活は有用だと考えます。

腹八分目生活をすれば、仮に必要量の120%のカロリーを摂取していることが原因で肥満になっている人であれば96%まで下げられますから、少なくともこれ以上太ることは避けられますよね?

-4%なので長く続ければ減量もできるでしょう。

必要量を下回ったらエネルギーが足りなくて体が動かねーよ!殺す気か!と思う方

ご安心ください。

人はそう簡単に死にません。

ましてやこの飽食の時代(日本)、餓死する人がいるでしょうか?

何のために脂肪としてエネルギーを蓄えているのですか?それを存分に利用すればよいだけの話です。

体には脂肪を糖に変換させる機能が備わっています

大丈夫です。

まずは適正体重まで落としてください。話はそれからです。

とはいえ、過激な糖質制限や断食などは体に大きな負荷がかかりますし、重要なポイントをきちんと押さえなければそれこそ体調不良を引き起こします。

まずは腹八分生活で徐々に体を慣らしつつ、ゆっくり時間をかけて減量することでリバウンドしにくく、健康的に痩せることができるでしょう。

②精神的効果

本当はみんなわかっているはずなんです。

満腹まで食べることが体に悪いことだって。

食べ過ぎた次の日の胃もたれ、体のだるさ、猛烈な眠気、、、

これらを経験したことが無い人はいないでしょう。

また、満腹のその瞬間は気持ちが満たされている感はあるかと思いますが、すぐにお腹の苦しさも自覚し始めます。

そうなってくると、「なんでこんなに食べ過ぎたんだろう」「最後の一品は余計だったな」と罪悪感を感じることもあるかと思います。

そんな罪悪感に苛まれた翌日、体調不調が始まります。

胃部の不快感、嘔気、倦怠感など様々な体調不良が出現してきます。

倦怠感などの発生メカニズムとしては、食べ物の消化に多くのエネルギーを要しているからだと考えられています。

エネルギーを得るために食事を摂りますが、食べたものを消化して吸収できる形まで持っていくにはそれ相応の労力が掛かります。

胃酸、膵液、消化酵素、胆汁酸などの働きによって取り込まれた食べ物は消化されますが、それらを分泌するためには腸管細胞や膵臓、肝臓などが頑張らなければなりません。

細胞が頑張るためには栄養、酸素、水が必要で、それを運ぶのは血液です。

食後は消化管の方に血流が集中し、脳を始めとした各組織が極めて軽度の虚血(血が少ない状態)となります。

脳だってほかの臓器だって血液が欲しいのですが、消化器の方に取られているので省エネモードにならざるを得ないのです。

省エネモードということはすなわち活発に動かないようにすることです。

脳であれば、判断能力を落とし、眠る方向へシフトしますし、消化管以外の全身の組織はあまり動かないことでエネルギーを節約します。

眠気の原因には血糖値スパイクによる血糖値の乱高下も影響しています。

体のエネルギーを節約するということは活力が低下するということです。

活力が低下することで倦怠感や気だるさが現れます。

このように、体というのは恒常的な状態を崩されるのを嫌います。

そのため、欲望のままに暴飲暴食をしてしまうことで、自らの体を体調不良へと陥れてしまうのです。

食べ過ぎ飲みすぎで自責の念に駆られたことがある人は必ずいると思います。

ここで偉そうなことを言っている私もまれに食べ放題などに行くと普段小食であるのを忘れたかのように爆食いします。(これはもとを取ろうという卑しい心からです)

そして次の日はずっと体調が悪く、お腹も調子が悪いです。

旅行先などのホテルビュッフェなどは年に数回行くかどうかなのでそれくらいはいいかなと羽目を外していますが、普段の食事は満腹にならないように気を付けることが重要だと思います。

市販薬の消化酵素を含有しているものを携えて、食べると決めた時は心のままに食べるのはストレス発散にもなりますのでたまの楽しみだと思っています。

③節約効果

こちらも説明するまでもありませんが、食べる量が減ることによって比例して食費も減ります。(当たり前ですね)

単純に食費も八部(8割)にはならないかと思いますが、仮に食費を固定していた場合は量を減らした分、質を高めることができます。

食費をあまりにも節約してしまうと幸福度が下がるだけでなく健康も害してしまいますが、現代の私たちの食生活は往々にして過剰摂取です。

大抵の人は腹八分にすることで食事量を減らし、食費削減効果が得られるのではないでしょうか?

また、腹八分は外食時にも言えることで、例えば+100円で大盛りにできるメニューがあっても大盛にしないことで節約、ハーフサイズで満足できれば割高であったとしても結果的に支払う金額は少なくて済むなど我慢をするのではなくほどほどに満足したらいいと思うことで余計な出費を抑えることにもつながります。

体とお財布にやさしい腹八分目生活、やらない理由はないですよね?




私たちがつい食べ過ぎてしまう理由

なぜ私たちは食べ過ぎてしまうのでしょうか?

主な理由としては、私たち人間が長い間食料不足の時代を生きていたからだと考えられます。

私たちの祖先(原人)は比較的近年の江戸時代まで飢え死にする人がいたほど長い間食糧難の中で生きてきました。

文明が発展するにつれて、穀物や畜産などの自給率が上昇し、現代の飽食時代を生きている訳ですが、これほどまでに食料が供給できるようになったのはほんの100年くらいの話です。

飢餓に苦しむ私たちの祖先は運よく食べ物にありつけたとしても次いつまた食べ物にありつけるかの補償などありません。

現代みたいに、小腹空いたからコンビニ行くか~なんてのは昔の人からしたらとんでもないことです。

そんな時代を生きてきた私たちのDNAには食料を見つけたら腹いっぱい食べ、次食料にありつけるまで持たせるようプログラムされています。

そのため、私たちが太ってしまったり、食べ過ぎてしまうのはある意味仕方のないことだとも言えます。

人間はそう簡単に進化できません。

食べ物が少なかった時代のDNAがそのまま残されており、食べ物にあふれる現代でも私たちは日々食べ物を探し、お腹いっぱい食べるを繰り返します。

そうすることで種を存続するようにプログラムされているからです。

食欲というのは脳内報酬系が関与しています。

脳内報酬系とは欲求が満たされたときに脳内で脳内麻薬と呼ばれる快楽物質が放出されることにより、その行動を繰り返したいという本能です。

食事によって空腹から解放されたとき、脳内報酬系は活発化し、脳内麻薬をドバドバ出します。

ですが、食べ続けているとそのうち満腹になって食べるのを止められますよね?

これが満腹中枢の働きです。

有名な話ですが、満腹中枢が食欲のブレーキとなり、過食を抑えてる状況です。

ですが、満腹中枢にお腹いっぱいのシグナルが伝わるのには少し時間が掛かり、早食いをしてしまうと満腹感を感じるまでにタイムラグが生じます。

すると、量的にはお腹はいっぱいになっている(必要量は摂取できている)のに、満腹中枢のブレーキがかからないため、脳内報酬系のままに好きなだけ食べてしまい、結果苦しいところまで食べ過ぎてしまうのです。

脳内報酬系は極めて強い意思がないと抗うことができません。

そのため、満腹中枢の力を上手く借りることでストレスなく食べ過ぎを防ぐことができます。

その方法はとてもシンプルで、「ゆっくりよく噛んで食べること」です。

子供の頃に良くいわれましたよね?

ご飯はよく噛んでゆっくり食べましょう。

これはとても理にかなっています。

よく噛むことで、消化が良くなることだけでなく、食事時間を稼ぐことができます。

時間を掛けることで、食べている途中に満腹中枢が働きだし、お腹いっぱいになったと自覚し始めます。

早食いの場合満腹感が足りずにおかわりしていたのに、食事をゆっくり摂るだけでおかわりしなくても満足度が下がらないのなら、ゆっくり食べた方が体への負担も減り、おかわりにかかるコストも減るため一石二鳥ですよね。

このように、本能のままに食料に食らいつくのではなく、理性を保ちゆっくりと食事を摂ることで得られるメリットは大きいです。

私たちの体はまだ飽食時代用にバージョンアップできていませんから、エサに食らいつく動物のように食事を摂るのではなく、冷静に頭を使って必要な量の食料を摂取することでより健康で長生きできるわけです。

本当に長生きしたいのなら食べ過ぎは体にとって100%毒ですので、今すぐにでも腹八分生活を始めてみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか?

少し厳しい表現も用いましたが、食事が私たちの体に与える影響というのは想像以上に大きいものです。

食事を甘く見て、好き放題に動物のような食事を続けていては知的生命体の名が廃ります。

「好きなものを好きなだけ腹いっぱい食べて早く死にたい!」というのを人生の目的にしている人がいるのであればそれは本人が望んでいることなので止めはしませんが、多くの人はそうではないはずです。

大切な人と過ごす時間、好きなことをする時間、限りある人生の中で少しでも健康でいる期間を長くすることで使える時間は増えますし、その時間の質も高まります。

ぜひ、今一度ご自身の食生活を見直し、まずは腹八分生活から始めてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ABOUT ME
hiropon
初めまして。ヒロポンです。 私は大学病院で薬剤師をしています。 医療や健康についての情報発信をしたいと思いブログを始めました。 定期的に皆さんの健康に寄与する記事を更新しますので、よろしくお願いします。