健康

【現役薬剤師が解説】日光とビタミンD──“太陽は天然のサプリ”。骨・免疫・メンタルを守る最強の健康習慣

「日焼け=悪」というイメージが根強いですが、日光を避けすぎる生活は骨・免疫・脳に深刻な悪影響を与えます。

太陽光に当たることで体内で合成されるビタミンDは、
骨を強くする
免疫を高め感染症を防ぐ
メンタルを安定させる
といった、健康維持に欠かせない“超重要ビタミン”です。

この記事では、薬剤師の視点から
日光とビタミンDの科学・正しい日光浴方法・サプリの活用について解説します。

日光×ビタミンDがもたらす3つの圧倒的メリット

① 骨・筋肉を守る(骨粗鬆症予防)

ビタミンDはカルシウム吸収を助け、骨密度を維持します。
不足すると骨粗鬆症、骨折、筋力低下のリスクが上昇します。

高齢者の転倒リスクが上がる原因の1つにも
「ビタミンD不足」があります。

② 免疫力アップ(感染症予防)

ビタミンDは免疫細胞の調整役。
風邪やインフルエンザ、ウイルス感染のリスク低減が報告されています。

Aranow C. Vitamin D and the immune system. J Investig Med. 2011.

“免疫の司令塔”と例えられるほど重要

近年の研究では、ビタミンD欠乏者は呼吸器感染症が多いという報告もあります。

Martineau AR, et al. Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory infections: systematic review and meta-analysis of individual participant data. BMJ. 2017.

③ メンタルを支える(セロトニン)

日光を浴びると、脳内でセロトニン(幸せホルモン)が分泌。

これが夜にメラトニン(睡眠ホルモン)に変換され、
質の高い睡眠を促します。

日光不足=うつ傾向、睡眠の質低下

冬季うつ(SAD)も、日照不足が原因として有名です。

Mersch PPA, et al. Seasonal affective disorder and latitude: a review of the epidemiological literature. J Affect Disord. 1999.

どれくらい日光に当たればいい?

時期推奨照射時間(目安)部位
5–15分手の甲・腕
冬(北海道など北国)30–60分顔+手+腕
日が弱い季節・曇天倍程度

日焼け止めを顔に塗ってもOKですが、手の甲・腕のどこかは素肌で。

※シミ対策しつつ、健康メリットを最大化

食事から摂れるビタミンD

食材目安量とビタミンD量
鮭 1切れ約20 µg
いわし2尾約10 µg
卵1個約1.7 µg
きのこ類(干し椎茸が特に◎)調理で増加

日本人の食事摂取基準
成人推奨量:8.5 µg/日

魚・きのこ中心の和食は理想的です。

サプリの選び方(必要な人)

以下に当てはまる人は積極的に検討しましょう

会社員で室内勤務
日焼け止めを常用
北海道など日照時間が短い地域
高齢者
冬季うつ傾向

指標

  • D3(コレカルシフェロール)を選ぶ
  • 1日 1,000–2,000 IU25–50 µg)程度が目安
  • カルシウムの取りすぎには注意(腎結石リスク)

薬剤師おすすめの日光習慣

シーン実践アイデア
ベランダで3分深呼吸/朝散歩
昼休みに10分散歩
休日公園・自然で日光浴
室内日光の入る場所で仕事/読書

注意:日焼けは健康メリットとトレードオフ

リスク対策
シミ・シワ顔は日焼け止め、腕は素肌
乾燥日光後は保湿
皮膚疾患皮膚ガンリスクが高い方は医師と相談

日光は皮膚老化の一因である紫外線を含みますが、完全に避けるとかえってビタミンD欠乏を招きます。
大切なのは、日差しを“適量”浴びて健康効果とリスクをバランスさせること。短時間でも継続的に光を取り入れることで、皮膚への負担を最小限にしつつ恩恵を得られます。

まとめ:太陽は無料のサプリ

効果理由
骨と筋肉を守るカルシウム吸収↑
免疫力アップ免疫細胞を調整
気分安定セロトニン・睡眠ホルモン改善

朝日を浴びることで、体内時計がリセットされ、セロトニンの分泌が促されます。
これは実際に、睡眠薬や抗うつ薬とは異なる“自然なホルモン調整”といえ、心身のバランスを整えるうえで非常に重要です。

参考文献

  • Aranow C. Vitamin D and the immune system. J Investig Med. 2011.
  • Hewison M. An update on vitamin D and human immunity. Clin Endocrinol (Oxf). 2012.
  • Martineau AR, et al. Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory infections: systematic review and meta-analysis of individual participant data. BMJ. 2017.
  • Jolliffe DA, et al. Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory infections: updated meta-analysis. Lancet Diabetes Endocrinol. 2021.
  • Rosenthal NE, et al. Seasonal affective disorder: a description of the syndrome and preliminary findings with light therapy. Arch Gen Psychiatry. 1984.

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hiropon
初めまして。ヒロポンです。 新卒から大学病院8年間勤務し、転職して現在は企業薬剤師をしています。 医療や健康についての情報発信をしたいと思いブログを始めました。 定期的に皆さんの健康に寄与する記事を更新しますので、よろしくお願いします。