「次の仕事は決まっているの?」——退職を報告するたびに、職場の同僚や友人からそう聞かれました。転職先未定、貯金を切り崩す無職期間、都市部から北海道への移住。客観的に見ればリスクだらけの選択です。
それでも私がまったく不安を感じなかったのは、退職時点の個人資産は約1,700万円。その後退職金190万円が加わりましたが、退職と同時期にトランプショックによる株価急落が重なり、一時は資産が大きく目減りしました。それでも私がまったく焦らなかったのは、1,700万円という資産の裏付けがあったからです。
2025年3月、8年間勤めた大学病院を退職した際、周囲からはこんな言葉が続きました。
「北海道に行ってから仕事探すの?大丈夫?」 「無職期間が長くなったらどうするの?」
心配してくれる気持ちはありがたい。でも正直に言うと、私はまったく焦っていませんでした。お金があったから強気でいられた、というわけではありません。正確には、資産形成を続けてきたことで「最悪でもなんとかなる」という根拠のある安心感が手に入っていたのです。
28歳・貯金600万円からインデックス投資と節約を続けた結果、資産が「お守り」になりました。この記事では資産形成の全記録と、それが転職の質をどう変えたかを正直に書きます。難しい話はしません。医療職として忙しく働きながらでも再現できる、シンプルな実録です。
📋 この記事でわかること
- 28歳・貯金600万円から33歳・個人資産2,300万円に至るまでの全記録
- 資産形成が転職の質・自由度を根本的に変えた理由
- 無職3ヶ月間を「最高の時間」にできた背景
- 年収100万円ダウンでも後悔しない理由
- 忙しい医療従事者にインデックス投資が最適な理由
目次
はじめに|「次の仕事は決まっているの?」という問いに、私は笑顔で「No」と答えた
2025年3月、私は8年間勤めた大学病院を退職しました。
北海道への移住を決めていたこと、転職先はまだ決まっていないこと。それを周囲に話すたびに、こんな反応が返ってきました。
「え、次の仕事は決まってるの?」
「北海道に行ってから仕事探すの?大丈夫?」
「無職期間が長くなったらどうするの?」
心配してくれる気持ちはありがたい。でも正直に言うと、私はまったく不安ではありませんでした。
その理由はシンプルです。退職時点で個人資産が約1,700万円あったから。
お金があったから強気でいられた、というわけではありません。正確には、資産形成を続けてきたことで「最悪でもなんとかなる」という根拠のある安心感が手に入っていたのです。退職後に退職金約190万円が加わり、その後の株価回復も重なって、2025年9月に個人資産2,000万円の大台を突破しました。
この記事では、28歳から始めた資産形成の全記録と、それが転職という人生の大きな決断にどう作用したかを、数字とともに正直に書きます。投資の難しい話は一切しません。医療職として忙しく働きながらでも再現できる、シンプルな話です。
私のプロフィールと資産形成の出発点
まず簡単に自己紹介をさせてください。
- 薬学部をストレートで卒業・薬剤師国家試験合格
- 新卒で都内の大学病院(地域中核病院)に就職、8年勤務
- 2025年3月に退職、北海道へ移住
- 現在は企業薬剤師として転職、新天地で勤務中
資産形成を始めたのは2021年1月、28歳のときです。当時の貯金は約600万円。投資経験はゼロでした。
この600万円、実は都内での一人暮らし・奨学金月3万円返済という状況の中で、就職後4年間で貯めたものです。特別な高収入があったわけではありません。元々の貯金好きな性格に加え、多忙な病院勤務ゆえにお金を使う時間そのものが少なかったこと、自炊の徹底と通信費・保険料などの固定費を徹底的に見直したことが積み重なりました。節約は苦手意識がなく、むしろ楽しんでやっていたタイプです。
そんな私が投資を始めたきっかけは、FIRE(経済的自立・早期退職)という考え方との出会いでした。仕事にやりがいはあったものの、忙しさとストレスが積み重なる中で「このまま定年まで同じペースで働き続けるのは難しい」と感じていた時期に、FIREという概念を知りました。「お金に働いてもらうことで、働き方の自由を手に入れる」という発想が腑に落ちて、本気で実践しようと動き始めたのが投資のスタートです。
YouTubeで動画を見漁り、書籍を読み込む日々の中で出会ったのが、インデックス投資という考え方でした。
資産形成の全記録|28歳600万円から現在2,300万円まで
| 時期 | 年齢 | 個人資産 | 主なできごと |
|---|---|---|---|
| 2021年1月 | 28歳 | 600万円(貯金) | 投資スタート・旧NISA活用開始 |
| 2022年4月 | 29歳 | 1,000万円突破 | コロナ回復相場の恩恵・積み立て継続 |
| 2024年1月 | 31歳 | 約1,700万円 | 新NISA開始・月30万円投資へ拡大 |
| 2025年3月 | 32歳 | 約1,700万円 | 大学病院退職・退職金190万円受領・トランプショックによる株価急落 |
| 2025年9月 | 33歳 | 2,000万円突破 | 株価回復・再就職手当受領・個人資産2,000万円到達 |
| 2026年4月 | 33歳 | 2,300万円 | 企業薬剤師として勤務中・世帯資産3,600万円超 |
スタート時(2021年1月・28歳):貯金600万円、投資開始
最初の一手は2つ同時に打ちました。
ひとつは米国高配当個別株への投資。バフェット太郎氏の著書『バカでも稼げる「米国株」高配当投資』に影響を受け、厳選した10銘柄に均等配分で約40万円を投じました。配当金が定期的に振り込まれる「マネーマシン」を作るというコンセプトに、素直に魅力を感じていました。
もうひとつはインデックスファンドの積み立て。YouTubeで情報収集を重ねた結果、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を毎月5万円ずつ積み立てることにしました。どちらも当時の旧一般NISA枠(年120万円)を活用。枠を超える分は特定口座で買い付けを続けました。
第1フェーズ(2021〜2022年):コロナ回復相場の追い風
投資を始めたタイミングは、結果的に非常に恵まれていました。コロナショックからの回復相場の真っ只中で、買い付けた資産がどんどん値上がりしていきました。
運が良かったのは間違いありません。ただ、ここで大切なのは「上がっても売らなかった」こと。含み益が出ると売りたくなる心理は誰にでもありますが、長期積み立てという方針を崩しませんでした。この時期は給与の余剰分を可能な限り投資に回しながら、貯金と投資残高を着実に積み上げていきました。
節目(2022年4月・29歳):個人資産1,000万円突破
投資開始から約1年3ヶ月、29歳の時点で個人資産が1,000万円を突破しました。
「ついに1,000万円か」というより、「思ったより早かった」という感覚でした。貯金600万円からのスタートだったので、純粋な投資リターン+積み上げ貯蓄で400万円増えた計算です。この頃から、資産形成が「義務感でやること」から「楽しみながらできること」に変わってきた気がします。数字が増えていく過程を記録するのが、日課になっていました。
第2フェーズ(2022〜2024年):新NISA移行前の助走期間
1,000万円を超えてからも方針は変えず、インデックスの積み立てと個別株の保有を継続。旧NISAの枠と特定口座を使い分けながら、着実に資産を増やしていきました。
個別株については、この時期に「配当金はもらえるが、米国現地課税で約10%が差し引かれる」という現実を実感し始めていました。手元に残る配当金は魅力的ではあるものの、資産増加の効率という点ではインデックスファンドの方が明らかに優秀です。少しずつ、インデックス投資中心にシフトする考えが固まっていきました。
新NISA開始時(2024年・31歳):総資産約1,700万円
2024年から新NISAがスタートしました。私はここで大きな決断をします。
💡 新NISAでの投資額
毎月30万円・年間360万円の満額投資。月の給与だけでは賄えない金額のため、旧NISA口座や特定口座の資産を必要に応じて現金化し、新NISAの買い付け原資に充てる方法を取りました。
売却のタイミングについては、厳密なルールは設けていません。ただし、中東情勢で株価が大きく下落した局面では取り崩しを避けるなど、極端な安値での売却は意識的に回避しています。また米国個別株については、為替が円安の水準にある時期を選んで一部売却し、円換算での利益を確定させました。円安×含み益という二重の恩恵を享受できたタイミングでした。
退職時(2025年3月・32歳):個人資産約1,700万円→その後2,000万円突破
大学病院を退職した時点の個人資産は約1,700万円でした。退職後すぐに退職金として約190万円が加わりましたが、退職のタイミングとトランプ政権による関税措置が重なり、世界的な株価急落が発生。資産が一時的に大きく目減りしました。
それでも私が焦らなかったのは、1,700万円という資産の裏付けがあったからです。暴落局面でも淡々と保有を続け、株価の回復とともに資産は増加。再就職後に受け取った再就職手当も加わり、2025年9月に個人資産2,000万円の大台に到達しました。
下落しても売らない。この一点が、長期投資において最も大切な行動です。
現在(2026年4月・33歳):個人資産2,300万円
転職後も節約と投資は継続中。生活水準は変えていません。年収は前職より約100万円ダウンしていますが、投資の継続と生活コストのコントロールによって資産は増え続けています。個人資産は2,300万円に到達し、世帯資産は3,600万円を超えました。2026年9月には34歳を迎えますが、このペースで資産形成を続けていきます。
🏆 5年間の資産形成まとめ
28歳・貯金600万円スタート → 33歳・個人資産2,300万円。特別な高収入も、難しい投資手法も使っていません。インデックスファンドの積み立て+節約の継続、ただそれだけです。
資産形成が転職の質を根本的に変えた
ここからが、この記事の本題です。
「焦らなくていい」という状態がどれほど強いか
転職活動において、最大の敵は焦りです。「早く次の仕事を決めなければ」という焦りが、本来なら断るべき条件の仕事を受け入れさせます。給与・勤務地・職場環境・キャリアの方向性、どれかを妥協して「とりあえず決める」という選択につながります。
私の場合、退職時点で約1,700万円の個人資産がありました。加えて、お金の勉強をしていたので雇用保険の失業給付についても知識があり、もらえる金額と期間を事前に計算できていました。この2つが合わさった結果、「3〜6ヶ月は無収入でも生活できる」という具体的な根拠が手元にありました。根拠のある安心感は、漠然とした楽観とはまったく別物です。
無職3ヶ月間を「最高の時間」にできた理由
北海道への移住後、私は3ヶ月間無職でした。この期間、転職活動と並行して旅行・公園巡り・読書・料理など、やりたかったことを存分にやりました。焦りがないから、面接でも自分の言葉で話せました。条件の合わない求人はきっぱり断れました。給与よりワークライフバランスを優先する判断も、ストレスなくできました。
薬剤師免許という「最悪でも薬局に行けばどこかで拾ってもらえる」というセーフティネットの存在も大きかったです。資産と資格と知識、この3つが揃っていたことで、転職活動が「追い詰められた戦い」ではなく「自分に合う場所を探す旅」になりました。
年収100万円ダウンでも後悔がない理由
現在の仕事は、前職より年収が約100万円低い。客観的に見れば「転職で失敗した」と映るかもしれません。でも私は心から「転職して良かった」と思っています。
その理由のひとつが、資産があるからです。年収が下がっても、インデックス投資の積み立ては継続できています。資産は増え続けています。生活の満足度は上がっています。
収入だけで幸福度は決まらない。当たり前のようで、実際に経験するまで腑に落ちなかったことです。資産形成は、この「年収に依存しない生き方」を可能にしてくれるインフラです。
💬 資産形成×転職の相乗効果
資産があると「断る勇気」が生まれます。条件の悪い求人を断れる、焦らず待てる、年収より働きやすさを選べる。この自由こそが、資産形成の最大のリターンです。
医療従事者にインデックス投資が最強である理由
最後に、この経験から導き出した結論をお伝えします。
医療職の強みと弱み
医療従事者には、資産形成において大きな強みがあります。
- 収入の安定性:景気に左右されにくく、リストラリスクが低い。毎月安定して入金できることは、長期積み立て投資において最大のアドバンテージです。
- 専門職としての希少性:薬剤師・看護師・医師・理学療法士など、資格を持つ医療職は転職市場での需要が安定。いざとなれば職を変えられるという選択肢が、精神的な余裕を生みます。
一方で弱みもあります。
- 時間の少なさ:夜勤・当直・残業など、拘束時間が長い職種が多く、投資の勉強や管理に割けるリソースが限られます。
だからこそインデックス投資がぴったり合う
インデックス投資は、「優良なファンドを定期的に積み立てるだけ」という極めてシンプルな手法です。個別株のように企業分析をしたり、決算発表を追いかけたり、売買タイミングを考えたりする必要がありません。設定したら、あとは放置でいい。これが忙しい医療従事者に最高にマッチしています。
私自身、最初は個別株にも手を出しました。配当金の魅力に惹かれたからです。しかし実際に運用してみると、米国現地課税で配当の約10%が差し引かれること、個別株は値動きが大きく精神的な負荷もあること、管理の手間がかかることなど、インデックス一本と比べたときのデメリットが無視できなくなってきました。
結論として、今はインデックス投資一択です。残っている米国個別株は、配当金という小さなご褒美と、必要時に現金化できる外貨資産として保有しているイメージです。
💡 株主優待で固定費も削減
日本株は楽天グループを100株のみ保有しています。株主優待を活用することで、年間のスマホ通信費をほぼゼロに近い水準まで削減できています。インデックス一本でなくても、優待目的の少額保有は固定費削減の有効な手段になります。(詳しくは「スマホ通信費をほぼ無料にする方法」の記事で解説しています)
「難しいことは何もいらない」
インデックス投資だけで個人資産2,000万円を超えた私が断言します。難しい経済分析は不要です。チャートを読む技術も不要です。必要なのは「優良なインデックスファンドを、毎月決まった金額で積み立て続ける」ただそれだけです。
早く始めるほど複利の恩恵が大きくなります。28歳で始めた私が33歳で2,300万円に到達できたのは、特別な才能があったからではありません。早く始めて、やめなかっただけです。
まとめ|資産形成は「人生の選択肢」を増やすインフラ
資産形成は、お金を増やすためだけの行為ではありません。選択肢を増やすためのインフラです。
転職するかどうか。どんな条件で働くか。いつ休むか。何を優先するか。これらの決断を「お金の不安なく」できるようになること。それが、資産形成がもたらす最大の価値だと私は思っています。
私が年収100万円ダウンの転職を笑顔で受け入れられたのも、3ヶ月の無職期間を心底楽しめたのも、北海道移住という大きな決断に踏み切れたのも、すべて資産形成の積み重ねがあったからです。
医療従事者として忙しく働いているあなたへ。難しいことは何もありません。まず口座を開いて、毎月少額でもインデックスファンドの積み立てを始めてください。その小さな一歩が、5年後・10年後の「逃げる自由」を作ります。
この記事が、そのきっかけになれば嬉しいです。
📝 この記事のまとめ
- 28歳・貯金600万円 → 33歳・個人資産2,300万円(世帯3,600万円超)
- 資産があると転職活動を「焦らず・妥協せず」進められる
- 年収ダウンの転職でも、資産があれば幸福度は下がらない
- 医療従事者にはインデックス投資の長期積み立てが最適解
- 難しい分析は不要。早く始めて、やめないことが唯一のコツ