健康

野菜ジュースは飲んでも意味がない?ガチ考察してみた

今回はネット上でよく言われている野菜ジュース論争について、栄養学に基づいて、私の見解を交えて解説していこうと思います。おすすめの商品もご紹介します。この記事を読むことで野菜ジュースを飲むことに意味があるのかを知ることができます。




先に結論

  • ・砂糖・食塩無添加かつ、野菜汁100%の野菜ジュースは健康によい
  • 値段が安すぎる商品は野菜の使用量が少ないのであまりおすすめしない
  • 果物果汁入りの商品はただのミックスジュースなので健康増進目的なら避ける
  • 普段の食事で全く野菜を摂らない人にとっては特に有用である(必要分を満たせるわけではない
  • できることなら野菜を食べましょう

Googleの検索エンジンで野菜ジュースと検索すると、候補リスト1位は「効果」で2位が「意味ない」でした。

このことからも、野菜ジュースに対して意味がないと思っている方が多いことが何となくわかりますね。

では、なぜ意味がないと思っているのでしょうか?

野菜ジュース否定派の主な意見として以下のものがあげられます。

  • ビタミンは熱に弱いから・・・
  • 水溶性の栄養素は水で流れている・・・
  • そもそも野菜に栄養はない・・・

私が思うに、広告や掲示がやや誇張表現をしていることもあり、世間の人々が野菜ジュースに過度な期待をしてしまっていることが原因ではないでしょうか?

「これさえ飲めば問題解決!」とか「必要な栄養をすべて補える!」みたいな誤解を招く表現がされている節があると思います。青汁とかがいい例ですね。

ですが、野菜ジュースに過度な期待は禁物です。

確かに熱に弱い成分や水溶性栄養素の消失は実際に製造過程で生じているでしょう。

同じグラム数の生野菜を食べた場合との摂取できる栄養素を比べること自体がナンセンスです。

ただし、この認識のずれは家で野菜を調理して食べている時にも生じているはずです。

私は生野菜しか食べません!なんて人はそうはいないですよね?いたらすみません。

だとすると、家で焼いたり、茹でたり、蒸したりする工程を行うことで、ある程度の栄養素は失われていることになります。

では私たちは何のために野菜を食べているのでしょうか?

美味しいから?という理由が一番に来る人は正直すごいです。

私も野菜は比較的好きな方ですが、米や小麦、肉、魚より好きかと言われたらそんなことはないと全力で否定します。

なので、まずは野菜にどんなことを期待するべきなのかというのを整理し、その期待にそうことができるかを考えた方が合理的であると考えます。

野菜に期待すること

野菜にはその種類によって含まれている成分が異なることは誰もが知っていることですが、含まれている成分が私たちの体にとってどのように有益なのかを知っている人は多くないと思います。

数多ある野菜のそれぞれの成分を記憶し、それがどのように体内で働くのかを理解しているのは管理栄養士などの専門職の人たちです。

ですが、管理栄養士でさえも、薬のようにあなたは○○という病気だからこの野菜を1日何グラム食べてくださいと処方することはありませんよね?

それはつまり、野菜によって劇的に体調が変化するわけではないことを意味しています。

だとするならば、特定の野菜に含まれているやれ○○ポリフェノールとか○○サポニンとかにはそれほどパワーがあるわけではないということになります。(もちろん日常的に摂取することで一定の健康効果があるものもありますが)

もちろん、民間療法(医学的ではなく、昔からの言い伝え)として健康によいとされている食用植物はあると思いますが、そんなものはそうそうスーパーでは売られていません。

そのため、私たちは、どの野菜にも共通して含まれている成分にフォーカスしてその成分を摂る目的で野菜を食べることが最も楽であり効率的です。

私が野菜に期待することは以下の3つです

  • 食物繊維
  • カリウム
  • リコピン(トマト)

どうでしょう。いろいろと省きすぎてこの3つになりました。

ですが、私がいろいろな情報を調べて考えて導き出した答えはこの3つです。特に上記2つ。

野菜は種類が多いですが、結局食物繊維とカリウムが主たる栄養素だと思っています。(ブロッコリーのようにタンパク質を多く含むものもあるため、人によっては期待する成分は異なるとは思います。)

もちろん、各種ビタミンやポリフェノールなども期待したいところですが、それはサプリでも補うことができるものが多いです。

【食物繊維】

食物繊維は植物が持っている極めて有益な栄養素だと思います。

水に溶けやすい水溶性と溶けにくい不溶性の2種類に分けられ、水溶性はわかめや昆布などの海藻類や、納豆やきな粉などの豆類、イモ類に多く含まれ不溶性はゴボウなどの根菜、穀物、キノコ類に多く含まれます。

もちろん、野菜全般に言えることですが、野菜を食べれば両方の食物繊維を摂ることができます。

それぞれの特徴を以下に示します

【水溶性食物繊維】

消化管内をゆっくり移動することで、腹持ちをよくして食べ過ぎの防止に役立ちます。また食後の急激な血糖値の上昇を抑え、糖尿病のリスクを低下させます。

コレステロールを吸着し、便中に排泄することでコレステロールを低下させます。

消化酵素によって分解されないため、そのまま大腸まで到達し、腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整えます。便秘解消効果もあり

【不溶性食物繊維】

水分を含みやすく、潤いを大腸まで届け、便に水分を供給することで便秘解消に効果があります。

水溶性と同様に、腸内細菌のエサとなります。

腹持ちが良く、食べ過ぎ防止に貢献してくれます。

ざっとこんなところでしょうか。

正直、水溶性と不溶性でそこまで大きな違いはありません

両方を摂ることが効果的なのは間違いありません。

食べ過ぎを防止してくれるのは結構大きなメリットですよね。ベジファースト*という言葉がいかに重要かが分かります。

*ベジファースト:食事において、野菜から先に摂取することで急激な血糖値上昇を防いだり、咀嚼回数が増えることで満腹になりやすく食べ過ぎ防止になる健康法のこと

日本人の食事摂取基準においては、1日当たりの食物繊維摂取量は、男性で21g、女性で18g以上が目標量として定められています。

この基準は、この量を摂らないと栄養が不足して不健康になるというよりは、健康を維持する上での目標と考えていただければと思います。

食物繊維は米や小麦にも多少は含まれていますが、主食として常識的な量を食べているだけでは十分量摂取できません。

そこで、野菜類を追加して不足分を補う必要が出てくるわけです。

ちなみにご飯茶碗一杯(約200g)で0.6gです。1日3食食べても全く目標に届かなそうですよね?

主食からの食物繊維摂取量を増やす方法としては、米であれば玄米にしたり、小麦粉であれば全粒粉のものを選ぶことで、多少は食物繊維摂取量を増やすことができます。

蕎麦は100g当たり2.7gと主食の中では圧倒的に優秀な主食となりえますね。

ここで気になるのは「じゃあ食物繊維が多く含まれている食べ物はなんだよ?」って話なんですが、以下に簡易的なランキングを示します。

100g当たりの含有量

  • 1位 らっきょう
  • 2位 エシャロット
  • 3位 グリンピース

う~ん何とも言えないラインナップです。

どれもパクパク食べるような野菜じゃないですね~

エシャロットとか名前は聞いたことあるけどそんなおしゃんなものは普段食べませんよね

では我らが野菜の代表達(私の独断)の含有量を見てみましょう。

どうでしょうか。ゴボウ、モロヘイヤ、人参は多いですね。

レタスは実はあまり多くなくて、よく健康食品とかでレタス何個分の食物繊維とか売り文句に使われていますが、レタス自体がそこまで優秀ではないので、サラダとかのイメージから食物繊維が豊富と思っている人が多いことを利用したマーケティング戦略なのかもしれません。

そして、これは生の状態での含有量になりますので、茹でたりすることで水の中に水溶性食物繊維は溶け出てしまいますから、茹でたものを食べた場合はこの値よりも少なくなってしまいます。

せっかくの食物繊維が失われていく・・・

そんな時はスープにして食べることをお勧めします。

これなら溶け出た食物繊維だけでなく、各種栄養素も逃さず摂取できますからね。

そんなこんなで、調理工程で失われる分まで考えると、食物繊維の摂取は意識的にしていかないとどうしても不足してしまいそうですね。

日本人は食物繊維の摂取量が少ないなどと言われますが、食生活の欧米化などの影響もあり、和食から洋食が多くなることでさらに食物繊維の摂取は難しくなっていると思われます。

そんな時に手軽に食物繊維を摂ることができるのが野菜ジュースです。

相当前置きが長くなりました。

私も普段から飲んでいる代表的な商品の食物繊維含有量を調べてみました。

カゴメ 野菜一日これ一本(200ml当たり) 食物繊維:1.2~3.3g

伊藤園 1日分の野菜(200ml当たり)   食物繊維:0.8~2.9g

含有量にばらつきがあるのは、その時に使用している野菜の種類が異なったり、使用する野菜の比率が異なっているからだと思われます。でも計算上200ml当たりに野菜350gが使われていますので、やはり搾汁の時点で不溶性食物繊維のロスは多いのでしょうね。

この値を多いとみるか少ないとみるかは人それぞれですが、個人的には飲んで損ってことは一つもないのかなと思います。

【カリウム】

そして、食物繊維について長々と書き連ねてきましたが、ここからは第二の期待する成分カリウムについてです。

みなさんはカリウムについて考えたことがありますか?

あるよって人はかなり少数派の人か何かしらの疾患を持っていて、医師からカリウム制限を指示されている人だと思います。

カリウムの体の中での重要な働きを以下に示します。

・体の中における電気信号に必要な電解質として存在している

・腎臓からナトリウムを尿中に排泄する

これを見てすぐに「カリウム超重要ですね!」ってなる人はほとんどいないと思います。

上記のうち、一つ目に関しては、病的な低カリウム血症または高カリウム血症になった場合に最悪死に至るというほど超重要なのですが、普通に生活をしていてなることはありません。

腎臓の機能が正常の方で野菜の食べ過ぎで高カリウム血症なるなど考えられません。

カリウムというのは、薬としても使われているほど身近な物質で、多くの食べ物に一定量は含まれていますが、特に野菜(植物)に多く含まれています。

体内では主に細胞内に多く存在しており、血液中のカリウム濃度は常に一定の値になるように体が調節しています。

たくさん摂取したときは、細胞内に取り込まれて調節したり、腎臓から排泄されて濃度調節を行っています。

カリウムの重要な働きとして最も注目すべきなのは「腎臓からナトリウムを排泄する」ですね。

ナトリウムの排泄とはすなわち塩分(NaCl)を体外に排泄するということです。

今日日、日本人の塩分摂取量は増加傾向であり、塩分摂取量の増加は高血圧を始めとした循環器疾患のリスク上昇や胃がんなどの悪性腫瘍発症リスクを上昇させることが明らかになっています。

食塩摂取の目標基準は男性で7.5g/日未満、女性で6.5g/日未満とされています。

ですが、日本人の平均食塩摂取量は男性で11g/日、女性で9.3g/日と目標を余裕でオーバーしています。もはや目標を守る気はないといった姿勢ですね。

塩分というのは、体になくてはならない電解質ですが、普通に食事を摂っていては体内で余ってしまいます。

余った塩分は尿中に排泄されますが、尿を増やすためには水分が必要です。

また、血中のナトリウム濃度はカリウム同様一定の濃度で保たれていますので、体はいっぱい入ってきたナトリウムを必死になんとかしようとします。

何とかしようとすると水を体に入れて薄めたり、尿中に排泄してコントロールしようとします。

つまり、体は水分を欲します。水分が体にたくさん入ってくると血液(水分)が増加します。

水分が多く入ってくると血圧は上がります。

このように高血圧が成立してしまいます。厳密にはもう何段階か経由しますが、大まかなイメージを理解するだけならこれで十分です。

高血圧は心疾患、脳疾患を始めとした血管系の病気の原因となります。

また、毛細血管が豊富な腎臓にとってもいい状態ではありません。

高血圧とは、血液が血管を内側から押す圧力が強い状態を意味しており、血管に常に強い力が加わり続けると血管が疲弊してしまい、やがて硬くなって柔軟性を失います。

これをいわゆる動脈硬化といいます。

血管が硬くボロボロになった結果、特に重要で大きく太い血管がある心臓や脳に異常をきたしてしまうのです。

ちなみに、高血圧予防のための食塩摂取目標量は6g/日未満です。

ラーメンなどを1食食べて、スープまで飲み干したりすればすぐに超えてしまいます。

でも、しょっぱいものって美味しいですよね?

気持ちは本当にわかります。でも、健康に長生きしたいのなら、その欲もコントロールしていかなければなりません。

そんな塩分コントロールをサポートしてくれるのがカリウムになります。

カリウムは腎臓においてナトリウムと水の排泄を促します。

過剰な塩分を排泄する場合は、大量の水を飲んでカリウムを摂取すれば理論上はナトリウムを排泄することができます。(常識の範囲内ですよ?)

塩分摂りすぎたから水5Lとカリウム100g摂ろうとかは絶対にしないでください。

本当に死んでしまいます。

理想は、日々の塩分摂取量を目標以内にすることですが、それを超えた分をカリウムと飲水で洗い流すようなイメージがいいかと思います。

私がしている考え方ですが、例えば、ラーメンを食べた日はいつもの食事に加えて野菜ジュースを摂取し、水を飲む量を意識的に増やします。

カリウムを何g摂って水を何L飲んだら何gのナトリウムが排泄されるかはわかりません。というより個人差がありすぎて測定できないでしょう。

これはあくまでも考え方、意識の問題です。

日常的にこういったことを意識することで、芋づる式に健康に近づくことができると思います。

水を飲むことは健康にもいいですし、それによって食べ過ぎを防止することにもつながるでしょう。

【リコピン】

最後はリコピンです。

まあこれは有名ですし、細かいことは言いませんが、私が健康に良いと思っている野菜ジュースはベースがトマトジュースであり、リコピンが豊富に含まれているのでこれを挙げました。

リコピンは言わずと知れた健康成分ですよね。いたるところで体にいいなんて言われています。

具体的な効能は「心疾患低下」、「血管疾患低下」、「前立せん癌発症リスク低下」や抗酸化作用による肌つやの向上などもあるとされています。

しかもこのリコピンというのは、生のトマトよりも野菜ジュースの方が多く含有しているようです。

その理由として、野菜ジュース製造過程で野菜を絞ったりするかと思うのですが、その時に細胞が壊されて中に含まれているリコピンも搾汁できているからだと考えられます。

熱にも強く、製造過程でまさかの含有量アップしているとは驚きですよね。

野菜ジュースの選び方

冒頭の結論でも書きましたが、絶対に野菜汁100%で砂糖・食塩無添加のものを選んでください。

そりゃ果物果汁が入っているものの方が甘くておいしいかもしれませんが、それはただのジュースであり、嗜好品です。糖質も多いので控えた方がベターでしょう。

また、安すぎる商品もおすすめできません。

スーパーで野菜ジュースが並んでいるコーナーを見ると、結構値段がピンキリなんですよね。

例えばカゴメ野菜一日これ一本は1L250-300円程度しますが、某メーカーのものは150円程度で売られていたりします。

以前に安さに釣られて購入したことがありますが、正直言って全然ダメでした。

まず味が薄いですし、成分表示を見ても明らかにしょぼいです。そりゃそうだろって感じです。

安かろう悪かろうを実感しました。いい商品を作るにはそれなりに原材料費が掛かります。本当に体のことを考えたら少し高くても濃いものを飲んだ方がよいと思います。

野菜ジュースを選ぶときは裏の成分表示も必ずみてください。

様々な成分の含有量が表示されていますし、ビタミンなど記載があれば、それは確実に含まれています。製造過程で失われた分を補填する形で添加されている場合も多いです。

私のおすすめは以下の3つです

コスパは最強です!

カゴメ野菜生活の1食分の野菜シリーズは甘くておいしいですが、健康のために飲むものではないかなと思います。

全く野菜ジュースを飲んだことがない人がそこから始めるにはありかもしれません。

最後に

長文を最後まで読んでいただきありがとうございました。

正直、野菜ジュースに過度な期待は禁物です。

ですが、飲まないよりは飲んだ方がいいというのは間違いないと思います。

不足しがちな食物繊維は粉状のファイバーなどもありますので、野菜を食べる習慣がない人はそういったものを利用するのもありだと思います。おすすめのものは別記事で紹介しようと思います。

健康への意識作りとしても野菜ジュースは有用だと思いますので、これを機にぜひ試してみてください。




ABOUT ME
hiropon
初めまして。ヒロポンです。 私は大学病院で薬剤師をしています。 医療や健康についての情報発信をしたいと思いブログを始めました。 定期的に皆さんの健康に寄与する記事を更新しますので、よろしくお願いします。