薬剤師キャリア

「仕事が嫌だからFIRE」では足りない——30代薬剤師がFIREを目指し、考えが変わるまでの話

28歳のある日、「俺はいつまでこの生活を続けるんだろう」と思いました。

コロナ病棟に配置転換され、感染リスクだけ高くて手当もなし。仕事へのモチベーションが下がる一方で、「プライベートを充実させなければ」という気持ちが強くなっていきました。そこで出会ったのが「FIRE」という概念です。

この記事では、私がFIREを目指すことになったきっかけ・FIREの種類・達成ポイントを整理します。そして正直に言うと、現在は当時ほどFIREにこだわっていません。その理由も含めて書きます。




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ひろぽん(薬剤師)

元FIRE志望 / 現在はホワイト転職によりFIRE熱が冷静化 / 節約・投資継続中


  • 病院薬剤師8年→転職。コロナ病棟勤務・パワハラ経験を経てFIREを目指すことを決意
  • 2022年に資産1,000万円・2025年に2,000万円を達成
  • 北海道移住・無職3か月の疑似FIRE生活を経て、現在はFIRE熱が冷めた状態(詳細は本文で)

📋 この記事でわかること

  • 私がFIREを目指すことになったきっかけ(コロナ病棟・人生観の変化)
  • FIREとは何か——5つの種類と必要な資産額の目安
  • なぜFIREブームが去ったのか——30代の8割が資産1,000万円未満というデータ
  • 私がFIREに向かって動いた原動力——妻との日本全国制覇と時間への渇望
  • FIRE達成に向けた3つの必須ポイント
  • 【2025年現在】ホワイト転職でFIRE熱が冷めた正直な話

💡 FIREを目指すことになったきっかけ

私の人生観が変わったのは28歳の頃でした。入職2年目からのパワハラ・コロナ病棟への配置転換——仕事へのモチベーションが底を打っていた時期に、職場で意識の高い腎臓内科医の友人と出会いました。彼と話すたびに「自分の時間をどう使っているか」を問い直させられ、ダラダラ過ごしてきた自分を変えたいと思うようになりました。

そこから本・YouTube・Audibleなどで「お金・時間・生き方」について学び始めました。特に資産運用の動画を見て雷に打たれたように感じ、貯金から投資へ、そして「FIRE」という概念へとたどり着きました。

元々は無人島を購入して自給自足の生活をしたいという夢を持っており、そのために貯金を続けていたのですが、「島を買うより資産を運用して早期リタイアする方が合理的」と考えが変わっていきました。

📋 FIREとは何か——5つの種類と必要資産額

FIREとはFinancial Independence, Retire Earlyの略で、「経済的に自立して早期リタイアする」という考え方です。まとまった資産を運用することで、労働収入に依存しない状態を目指します。

FIREには複数の種類があり、必要な資産額と生活スタイルが異なります。

種類 概要 必要資産の目安(4%ルール) 難易度
ファットFIRE 完全リタイア+高い生活水準を維持 1億円以上(年500万円の場合) ★★★★★(超難関)
リーンFIRE 完全リタイア+最低限の生活 約3,750万円(年150万円の場合) ★★★☆☆
サイドFIRE 資産運用+好きな仕事で不足分を補う 1,000〜2,000万円台でも可 ★★☆☆☆(現実的)
バリスタFIRE 資産運用+パート・アルバイトで補完 サイドFIREと同水準 ★★☆☆☆
コーストFIRE 資産運用益で生活しつつ好きなことが仕事になった状態 数千万円〜 ★★★☆☆(理想形)

💡 4%ルールとは

資産の4%ずつ取り崩しても、95%以上の確率で資産が永遠に枯渇しないとされる法則(トリニティ大学研究・1998年)。年間生活費÷0.04=必要資産額で計算できます。年150万円の生活なら3,750万円、年300万円なら7,500万円が目安です。

📉 FIREブームが去った理由——30代の8割が資産1,000万円未満という現実

一時期大きな話題になったFIREですが、「FIREブームは終わった」とも言われています。理由はシンプルで、庶民には達成の難易度が高すぎるからです。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、30代の約80%が保有資産1,000万円未満です。3,000万円以上を保有する世帯はわずか3.2%——完全なマイノリティです。

大卒男性の生涯収入は手取りで約2億円。40年間で割ると年間500万円ですが、若いうちはその水準に達しない。子育て・住宅・車といった30代のライフイベントが重なる中で、まとまった投資元本を作ることは並大抵のことではありません。

FIRE系インフルエンサーの情報には注意

FIRE系の情報を見ていると「若くして数千万円を達成」という話が多く出てきますが、あの方たちは統計的に超マイノリティです。彼らの話を聞いて感覚がバグると、普通の人生を歩んでいる自分を過小評価してしまいます。現実のデータと照らし合わせながら、自分に合ったペースで進むことが重要です。

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🔥 私がFIREを目指した原動力——「時間」だけはどうにもならない

厳しい現実を理解したうえで、それでも私がFIREにこだわった理由があります。

妻との日本全国制覇です。旅行は土日に行くと混んでいて料金も高い。平日に自由に旅できる時間を確保するためには、週5〜6日の正社員という生活から抜け出す必要がありました。お金は工夫で節約できますが、時間だけはどうにもならない——これがFIREを目指す最大の動機でした。

各地の美味しいものを食べ、思い出を共有し、行ってみたい国を順番に回り、死ぬまでにやりたいことをやって「幸せな人生だった」と言って死ぬ。それが当時の私の人生の最終目的でした。

この目標のために40歳までにサイドFIREを達成することを目標に設定し、節約・投資・副業にフルコミットしてきました。

✅ FIRE達成に向けた3つの必須ポイント

① 徹底的な節約(必須)

収入がぶっとんでいる医師や経営者を除いて、一般庶民がFIREを達成するためには生活水準の管理が絶対条件です。生活コストが低いほど、どのFIREでも達成難易度は下がります。固定費の削減・食費の管理・節税——これらを徹底することで投資に回せる種銭が増えます。

② 資産運用(必須)

労働収入だけでは時間が切り売りされるだけで、稼げる額に限界があります。お金にも並走して働いてもらうことで、目標到達のスピードが変わります。私の場合、王道のインデックス投資(オルカン中心)をNISA枠でコツコツ続けることで、2022年に1,000万円・2025年に2,000万円を達成しました。

③ 明確なビジョン(必須)

「ただ仕事が嫌だからFIRE」という動機だと、達成後に何をすればいいかわからなくなります。巷では「FIRE卒業」という言葉もあり、FIREしたが暇すぎて正社員に戻ったという話を散見します。FIREした後に何をしたいのかという明確なビジョンが、数年〜数十年のモチベーションを支えます。

🏆 FIRE達成のシンプルな構造

節約で種銭をつくり → インデックス投資で増やし → 複利で加速させる。これを続けるだけです。難しいことは何もありません。続けることが全てです。

📍 2026年現在——正直に言うと、FIRE熱は冷めました

最後に、現在地を正直に書きます。

2025年に転職し、夜勤も休日出勤もない職場に移りました。年収は100万円近く下がりましたが、身体的・精神的な疲労が激減しました。そして北海道移住後の無職3か月という疑似FIRE生活を経験し——FIRE熱が、冷めました。

理由は単純で、「仕事が辛いからFIREしたい」という動機の大部分が、働き方を変えることで解消されたからです。疑似FIRE生活は最高でしたが、ホワイトな職場で働く今の生活も十分に満足できるものでした。

FIREは「仕事をやめること」が目的ではなく、「自分の時間を自分で設計できる状態になること」だと今は思っています。その意味では、節約と投資を続けて資産を積み上げることは変わらず続けていますし、選択肢を広げるための準備は止めていません。

「FIRE熱が冷めた」ことを書くのは、FIREを諦めたのではなく、FIREはあくまで手段のひとつだという考えに変わったからです。仕事そのものが生きがいになっている人にとってFIREは必要ありませんし、働き方を変えるだけで人生の満足度が大きく上がることもある。FIREにこだわりすぎず、自分が満足できる人生の形を探すことの方が大事だと思っています。

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※本記事は2本の記事(2023年執筆)を2025年時点の状況を踏まえて統合・加筆したものです。FIREの種類・必要資産額はあくまで目安であり、個人の生活水準・運用成績により異なります。

ABOUT ME
hiropon
ヒロポンです。 新卒から大学病院で8年間勤務し、北海道移住➤転職して現在は企業薬剤師をしています。FIREを目指して資産形成をしており、世帯資産3700万円を突破。 転職や薬学部での経験、資産運用の経験を活かして薬剤師のキャリア・国家試験対策・資産形成に関する情報発信をしています!