薬学部

薬学部6年生のリアル|卒論・講義・卒業試験・国試を完全解説

「薬学部6年生って、実際どれくらい大変なの?」「卒業試験って国家試験より難しいって本当?」「留年や卒業延期になる人ってどのくらいいるの?」

薬学部の6年生は、大学生活の集大成であり、多くの人にとって人生の分岐点にもなる1年です。卒業論文の提出、びっしりと詰め込まれた講義、予備試験、そして卒業試験と、怒涛のスケジュールが待ち受けています。

この記事では、現役薬剤師の私が実体験をもとに、薬学部6年生の前期・後期のリアルな実情を1本にまとめて徹底解説します。これから薬学部を目指す方、現役の薬学部生、そして保護者の方にもぜひ読んでいただきたい内容です。




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ひろぽん|薬剤師(企業DI担当)

病院薬剤師8年→現在は医薬品情報(DI)業務に従事。薬学部6年間の実体験をもとに、受験生・薬学部生向けのリアルな情報を発信しています。

📋 この記事でわかること

  • 薬学部6年生の卒業論文の実態(締め切り・発表会まで)
  • 予備校講師が大学に来る理由と講義漬けの日々のリアル
  • 予備試験の仕組みと卒業試験への影響
  • 卒業試験の合格条件と「負のスパイラル」の怖さ
  • 卒業延期・国試浪人の現実と全国模試の活用法

卒論追い込み

卒業論文は薬学部の必須科目

卒業論文の提出は、薬学部の学位取得において全員が避けて通れない関門です。

なぜ薬学部に卒論があるのか、不思議に思ったことはありませんか?それには歴史的な背景があります。もともと薬剤師という職業は「化学薬品を扱う研究者・科学者」というポジションでした。今でこそ医療従事者として広く認知されていますが、かつての薬学部は病態や実務の講義が少なく、研究開発に携わる専門家の養成機関としての色合いが強かったのです。

その後、チーム医療(医師・看護師・その他の職種との連携)への参画が広がり、薬剤師が患者と直接接する機会も増えていきました。卒業論文はそうした歴史の名残ともいえます。

💡 補足

薬剤師国家試験の出題内容も時代とともに変化しており、近年は「チーム医療」や「臨床推論」など、より実践的な内容の割合が増しています。研究者としての素養と医療従事者としての視点、両方が求められる職業です。

卒論の締め切りと発表会

提出時期は大学によって異なりますが、私の大学では6年生の8月31日が締め切りで、9月に全体の発表会が行われました。

発表会では、ポスターを作成して他の研究室の先生や学生に対して説明し、教授からの質問に答えるという形式でした。準備は大変でしたが、同級生がどんな研究をしていたかを知ることができ、非常に良い機会だったと思います。

9月の卒論発表会が終わると、いよいよ本格的に国家試験へ向けて舵を切ります。

🏆 このセクションのポイント

卒論の締め切りは大学によって異なりますが、多くが夏頃。発表会を終えた9月から、いよいよ国試一本に集中するモードへ切り替わります。

講義漬けの日々

予備校講師が大学にやってくる

実際に手を動かす研究自体は、多くの人が5年生の終わり頃までに終えています。そのため6年生に入ると研究室での実験業務はほぼなくなり、代わりに4月からびっしりと講義が始まります

大学教授の授業もありますが、多くの大学では薬剤師国家試験予備校の講師が大学に出向いて講義を行うという体制を取っています。私の大学では「薬ゼミ(薬学ゼミナール)」でした。

なぜ予備校の講師を招くのか。教授陣は自分の専門分野には精通していますが、薬剤師でない先生もいますし、国家試験を受けたのがはるか昔という先生も多いです。一方、予備校講師は国試対策のスペシャリストで、最新の出題傾向を熟知しています。大学が費用を負担してでも招く価値があるわけです。

教え方も上手く、「理解が必要な部分」と「暗記でよい部分」を明確に教えてくれるので、勉強の効率が上がります(私は自習を優先して出なかった講義もありましたが)。

💡 ポイント

予備校の講義は本来、自分でお金を払って受けに行くもの。大学で無料で受けられる機会は最大限に活かしましょう。出席するだけで合格率が上がると言っても過言ではありません。

講義スケジュールと月次試験

講義は朝9時から16時半まであり、卒論はその後で進めるというスケジュール。前期はこの講義と卒論の両立で、正直かなり忙しい時期でした。

また、月に1回、国家試験の過去問や改変問題を使ったテストが実施され、成績順に順位が貼り出されます。成績不振者には強制出席・席指定などの措置が取られ、プレッシャーをかける仕組みが機能しています。

これが良いやり方かどうかの評価は難しいところです。ただ、一度「下位グループ」に入ってしまうと抜け出すのは簡単ではありません。周りの学生も全員必死に勉強しているからです。自尊心を傷つけられる学生がいることも事実で、精神的にしんどい時期でもあります。

※これはあくまで私の出身大学の話であり、すべての薬学部に共通しているわけではありません。

単位の取りこぼしに注意

ここで重要な注意点があります。もし6年生の時点で単位を取りこぼしている科目がある場合、予備校の講義と被ってしまうコマは出席できなくなります。その上で、取りこぼし科目の期末試験対策も並行して行わなければならず、まさに「がんじがらめ」の状態に。

単位の取りこぼしがある人は要注意

6年生時点で未取得単位があると、予備校講義・取りこぼし科目の試験対策・卒論が同時進行になります。このトリプルパンチに陥った学生は、高確率で留年または卒業延期になります。1〜5年生のうちに単位はしっかり取っておきましょう。

 
戦略で差がつく

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予備試験

9月からスタートする「国試の練習試験」

9月になると予備試験が始まります。これは薬剤師国家試験(以下、国試)を模した345問を、国試と同じタイムテーブルで解いていく試験です。

国試は2日間にわたって行われ、「必須」「理論」「実践」の3部構成。それぞれに制限時間が設けられています。予備試験はその本番さながらの環境に慣れるための重要な機会でもあります。

この時点での難易度はさほど高くなく、過去問をベースとして作られているため、過去問対策をしっかりやっていればそれなりの点数は取れます(あくまで私の主観ですが)。

予備試験は卒業試験の「通行証」

予備試験は10月・11月の計2回実施されます。大学が設定するボーダーラインをクリアできるかどうかが、後の卒業試験の条件に直結します。

予備試験の結果 卒業試験の合格条件
ボーダーをクリア 3回中2回で正答率65%超
ボーダー未達 3回の平均が正答率65%超(より厳しい条件)

予備試験の段階で6年分の過去問をマスターできていない学生は、国試突破が極めて難しいと言わざるを得ません。今思えば「予備試験」とは「卒業試験の予備」という意味だったのだと気づかされます(当時はよくわかっていませんでした)。

🏆 予備試験のポイント

予備試験のボーダークリアが、卒業試験を有利に戦う条件になります。9月〜11月の時点でしっかり過去問を仕上げておくことが、6年生後半を乗り切るカギです。

卒業試験

国試より難しい!?大学の最終関門

卒業試験とは、大学が実施する全3回の国試想定試験のことです。問題は教授陣が専門分野ごとに作成しており、どの大学でも「国試より難しい」と言われています。

なぜそこまで難しく設定されているのか。それは大学の事情が関係しています。国試合格率は大学の評価や経営に直結する重要な指標です。成績不振者を卒業させてしまい合格率が下がると、志願者の減少、さらには大学の存続にも影響しかねません。そのため、卒業試験を厳しめに設定することで、合格が危ぶまれる学生を事前にふるいにかけているのです。

合格条件の仕組み

合格点は国試と同様に正答率65%(約225問正解)です。全3回の卒業試験における合格条件は以下のとおりです。

対象者 合格条件 補足
予備試験ボーダークリア組 3回中2回で65%超 2回達成で3回目免除。国試直前の時間を確保できる
予備試験ボーダー未達組 3回の平均が65%超 3回すべてを受験する必要あり。国試直前に時間を失う

前者の条件なら、最初の2回でクリアすれば3回目を受験しなくて済みます。3回目の試験は国試直前に当たるため、タイムロスを避けられるという意味でも大きなアドバンテージです。

一方、成績不振な学生ほど試験に時間を取られるという「負のスパイラル」が発生してしまいます。3回目まで受けることになった学生の国試合格率はかなり低いのが現実です。

卒業延期・国試浪人の現実

卒業試験を突破した学生が「卒業見込み」という資格を得て、国試への申込みが可能になります。逆に脱落した場合は卒業延期(次年度の秋に卒業)という形になります。留年とは異なり、1年遅れで現役として国試を受けることはできますが、就職は1年ズレます。

また、卒業試験はギリギリ通過しても国試に落ちてしまった場合は国試浪人となります。多くの人は予備校に通い、翌年の国試に向けて再挑戦しますが、厚生労働省が公表しているデータを見ると、どの大学においても浪人生の合格率はストレート合格者に比べて大幅に低下しています。

燃え尽き症候群、モチベーションの維持の難しさなど原因はさまざま考えられますが、6年間大学に通い卒業まで果たしながら、2浪の末に諦める方もいるのが現実です。私の同級生でも知っているだけで3人います。

国試浪人の合格率は大幅に低い

厚生労働省のデータでは、どの大学においても国試浪人の合格率は現役合格者と比べて顕著に低い傾向があります。「今年落ちても来年がある」という考えは危険です。6年生のうちにストレート合格を目指す姿勢が重要です。

全国模試も活用しよう

卒業試験の合間には、薬ゼミが実施する全国模試もあります。薬ゼミは薬剤師国家試験予備校の最大手で、参加大学数も非常に多いため、全国の薬学生の中での自分の立ち位置を把握できます。

模試で上位50%以内に入れていれば、国試の合格率は極めて高いと言えるでしょう。国試の合格率は低すぎると薬剤師の供給不足につながるため、少なくとも60%程度は合格するよう設計されています。そのことを踏まえると、上位半数に入ることが一つの目安になります。

💡 全国模試の活用ポイント

  • 全国の薬学生と比較した自分の偏差値・順位を把握できる
  • 苦手科目・苦手分野の特定に役立つ
  • 模試で上位50%以内に入れれば、本番の合格率は極めて高い

まとめ

6年生の1年間を振り返ると、ざっくりこんな流れになります。

時期 主なイベント
4〜8月 予備校講義(9:00〜16:30)+卒論追い込み
9月 卒論発表会 → 国試モードへ切り替え・予備試験①
10〜11月 予備試験②③ + 薬ゼミ全国模試
12〜1月 卒業試験(全3回)
2月 薬剤師国家試験 本番

私自身が本格的に腰を据えて勉強を始めたのは9月中旬からで、そこからは講義がない日は1日8時間ほど机に向かっていました。しんどかったかと聞かれると、正直そこまでつらくはなかったです。ただ、それは薬学の勉強を楽しいと思えていたからかもしれません。

これを読んで「薬学部は大変そう…」と感じた方もいるかもしれません。でも、それは大学卒業と国家試験合格を同時に達成するために必要なプロセスです。

🏆 6年生を乗り切る3つのポイント

  • 1〜5年生のうちに単位をしっかり取り、6年生を万全の状態でスタートする
  • 予備校講義はフル活用。予備試験のボーダークリアを最初の目標に
  • 国試はストレート合格が最善。浪人のリスクを念頭に置いて本気で臨む

この記事を読んでもなお「薬学部に入りたい」と思っていただけた方は、ぜひ目指してみてください!

 
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ABOUT ME
hiropon
ヒロポンです。 新卒から大学病院で8年間勤務し、北海道移住➤転職して現在は企業薬剤師をしています。FIREを目指して資産形成をしており、世帯資産3700万円を突破。 転職や薬学部での経験、資産運用の経験を活かして薬剤師のキャリア・国家試験対策・資産形成に関する情報発信をしています!