今回は、イライラやストレスに効果的との売り文句で売られている「アロパノール®」という市販薬がどんな薬なのか、本当に効くのかを解説していきます。この記事を読むことで、アロパノールメディカル液の効果が気になっている人が試してみるきっかけになるかもしれません。
アロパノールってどんな薬?
私がアロパノールのCMを最後に見たのは5年くらい前だったかと思います。
当時は「ストレス・緊張で疲れているあなたに!」みたいな売り文句の内容だったので、市販薬でそんな胡散臭いこと言って大丈夫か?と思った記憶があります。
アロパノールを販売しているのは全薬工業株式会社は未上場の株式会社であり、代表的な製品はジキニン®でしょうか。
ジキニンは総合感冒薬(風邪薬)であり、こちらも昔CMが流れていたと記憶しています。
私がドラッグストアでアルバイトをしていた時、年配の方はジキニン信者の方が多く、私の祖父も風邪に備えてジキニンをたくさん買い込んでいましたね。
私がバイトしてた時はアロパノールなんて陳列していなかったと思いますし、レジを通した記憶もありません。
製品情報を見てみると、アロパノールにはメディカル液、メディカル顆粒、メディカル錠が存在しているようです。
個人的には味を感じにくい錠剤が好みですが、内用液は飲みやすいように味が調整されていると思うので最終的には個人の好みの問題ですかね~
メーカーの売り文句は・・・
ストレスによる緊張・イライラ・不眠などの神経症状を改善します
とのこと
添付文書の効能・効果には「体力中等度をめやすとして、神経が高ぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、歯ぎしり、更年期障害」
と記載されています。(効能・効果は添付文書より引用)
体力中等度をめやすとして?といういきなり香ばしいワードが出てきていますね
体力中等度がいかほどなのかは定義が難しいですが、普通に日常生活ができる程度(極度に衰弱、虚弱状態ではない)と解釈するのが無難です。
効能・効果をわかりやすく言うと、「そこそこ体力がある人で、普段からイライラ・ピリピリしているせいで寝つきが悪くなったりする人の症状を緩和する」となります。
こんな変な言い回しにしているのには理由があるのですが、これについては次項で解説します。
医療現場で使われている?
前項の効能・効果で妙な言い回しをしていましたが、これには理由があります。
その理由は、アロパノールに含まれる成分(薬効を発揮するもの)が漢方だからです。
アロパノールに含まれている漢方の名前は「抑肝散(よくかんさん)」というものであり、実際に医療現場でも使用されています。
漢方と言えばツムラが有名であり、私の職場でもツムラの抑肝散が使用されています。
ツムラの抑肝散(54番)の効能効果は以下の通り
虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症
神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(しょうにかんしょう)
アロパノールとは微妙に適応症が異なりますが、ほぼ同じですね。
小児疳症とはおちつきがない、ひきつけ、夜泣きなどがある小児、眼瞼痙攣や手足のふるえなどを伴う、腹直筋が緊張しているなどが症状とされています。(多岐に渡りますね)
要するに一般的な小児の夜泣きレベルを逸脱したような夜泣きをする子供(何らかの神経が高ぶっている状態と考えられる)を鎮める目的で用いられるということです。
適応症に小児夜泣きがあるので、厳密には夜泣きは小児疳症の症状に含まれるということですね。(わざわざ分けているのには何か意味があるのかもしれませんが・・・)
実際の医療現場では、入院が長期化してストレスフルになったり、逆に気分が落ち込んだりして不眠を伴っている人に対して処方されたりします。
まれに小児にも上記の適応で処方されることもあり、子供から大人まで幅広く使用することができる漢方薬です。
似たようなもので、抑肝散加陳皮半夏というものもあります。
これは抑肝散に生薬の陳皮と半夏を加えたものであり、効能・効果にやや消化器が弱くという文言が追加され、歯ぎしり、血の道症という症状が追加されています。
血の道症とは、東洋医学の考え方で、人間の体は気血水(きけつすい)の3要素で構成されており、どれかが不足したり流れが滞ることで身体に異常が出るというものです。
血(けつ)とはいわゆる血であり、ホルモンや血液などを表しており、血の道症とは血(けつ)の流れが悪くなったり乱れたりすることで起こる更年期障害、妊娠・出産・つわりなどの精神症状および身体症状を指します。
妊婦にも使用できるため、つわりによる気分不快などに処方されることもあります。
抑肝散加陳皮半夏は抑肝散の強化版と考えて差し支えありません。(アロパノールから脱線しましたね)
実際に飲んでみた(抑肝散)結果
私が抑肝散を始めて飲んだのは2年前でした。
自分が担当していた病棟がコロナ病棟になり、毎日防護服を着ながら陽性エリアで仕事をしていた時のこと。
感染リスクに常にさらされながらストレスフルに働いていたある日、急にイライラするようになりました。
普段から温厚な性格である自覚があり、怒ることもほぼ無い私ですが、ある時から仕事だけでなくプライベートでも今となってはどうでもいいことでイライラしていました。
人や物に当たったりはさすがにありませんでしたが、それでも毎日イライラしており、そのせいで人生で初めて不眠症(もどき)になりました。
当時試してみたのは抑肝散とベルソムラ®という睡眠導入剤でした。
抑肝散は不眠症であれば寝る前に飲むのがよいですが、ストレスに対してであれば1日3回毎食前に飲むのが一般的です。
ベルソムラは比較的軽めの睡眠導入剤であり、どちらも仲の良い医師に処方してもらい内服していました。
使用した結果は・・・
なんとなくストレスが和らいだ気がします!笑
不眠についてはベルソムラも併用していたので、抑肝散だけの効果ではないですが、日頃のイライラは軽減したような感じは確かにありました。
抑肝散は副作用が出にくい薬ですが、甘草(カンゾウ)を含有しているため、偽アルドステロン症に注意が必要です。
血圧が上がったり、尿量が減ったりした場合はすぐに内服を止め、症状が治まらない場合は近医を受診しましょう。
余談ですが、ベルソムラは代表的な副作用として「悪夢を見る」というのがあるのですが、私も見ました笑
内容は覚えていなかったですが、本当に見るんだな~と身をもって体感しましたね。
余談ですが、7月に入ってから、仕事のことで上司と折が合わず、ストレスが溜まってイライラしてしまい、寝つきが悪い日が出てきたので、久しぶりに数日間抑肝散を飲みました。
イライラはそこまで解消しませんでしたが、寝つきは明らかに良くなりました。
薬効が得られるかは体質などにもよるので一概には言えませんが、実際に医療現場でも用いられていますので、ストレスで寝つきが悪かったり、イライラしている人はアロパノールを試してみる価値はあると考えます。
まとめ
そもそもストレスを溜めないことが一番ですが、ストレス社会の現代でストレスをゼロにするのは不可能に近いです。
個人が各々のストレス発散法を持っていればまだいいですが、ストレス発散できないのにストレスだけが蓄積していくとやがて心が壊れてしまい社会からドロップアウトしてしまいます。
アロパノール(抑肝散)はストレスの根本解決にはなりませんが、緩和には一定の効果があると思います。
現在ストレスに悩んでいる人でどうしたらいいかわからない方は試してみてください!
何度も言うようですが、一番はストレスを溜めないこと、2番は適切なストレス解消法を見つけること。アロパノール(薬)は3番手ですので過度な期待はしないように
最後まで読んでいただきありがとうございました。