今回は実際に胃潰瘍になって上部内視鏡を受けた私が内視鏡の重要性について解説していきます。内視鏡は苦しいし辛いので受けないに越したことはないですが、ある程度の年齢になったら自覚症状が無くても定期的に検査すべきです。この記事を読むことで内視鏡の重要性とヘリコバクターピロリの治療について理解できますので是非ご覧ください!
目次
内視鏡とは?
内視鏡とは、様々な機能を備えたカメラ付きのチューブ(管)のことであり、主に上部内視鏡と下部内視鏡があります。
似たようなものに喉頭鏡や膀胱鏡などもありますが、どれも形は似ており、目的は内臓の状態を目視で診察することです。
上部内視鏡(通称胃カメラ)
上部内視鏡とは口(鼻)から入れて、食道・胃・十二指腸を検査するための内視鏡です。
主に上記の消化管疾患の診断・治療に用いられます。
下部内視鏡(通称大腸カメラ)
下部内視鏡とは肛門から入れて直腸、大腸(上行結腸、下行結腸、横行結腸、S状結腸)を検査する内視鏡です。
主に上記の消化管疾患の診断・治療に用いられます。
内視鏡でなにが分かる?何ができる?
内視鏡の目的については上述しましたが、一番大事なのは様々な病変を目視で診察することです。
消化管の異常と言うのはCTなどでも少しはわかりますが、局所的な小さい病変は内視鏡で診ないとわかりません。
また、内視鏡にはカメラ以外にも細胞をちぎり取ったり、焼いたりする機能が搭載されており、内視鏡中に見つけたポリープ(良性腫瘍)をその場で切除したり焼いたりすることもできます。(※全症例検査+切除ができるわけではありません)
それぞれの内視鏡でわかる疾患についてざっくりと紹介します
上部消化管
上述したように上部消化管は食道、胃、十二指腸を診る検査なので、主にここに発生する病気を見つけることができます。
①食道:食道炎、食道潰瘍、食道狭窄、食道癌、逆流性食道炎、クローン病など
②胃:胃炎、胃潰瘍、胃がん、クローン病など
③十二指腸:十二指腸潰瘍、十二指腸がん(稀)、クローン病など
上部内視鏡のメインどころは食道、胃ですね。
食道がんは50代以降で増えてきますが、最初の方は自覚症状がなく、通過障害(飲み込みにくさ、食べ物が通りにくい感じ)などを理由に病院を受診して発見される人も多いです。
通過障害が出てくると言うことは腫瘍がそれなりに大きくなっており、場合によってはほかの臓器に転移している可能性もあるので早く見つけた方が予後が良くなります。
早期に発見できれば、外科的切除+抗がん剤(術前または術後補助療法)、放射線照射などで再発率を下げることもできますし、根治に持っていくこともできる場合があります。
ただし、基本的に食道癌は内視鏡では手術できないため、内視鏡で癌を見つけ、組織を取る(生検)をして病理に出したり、全身に癌が転移していないかの検査としてCTなどの画像診断に進むための足掛かりになります。
食道癌は進行すると食事が摂れなくなり、液体の栄養剤を飲んで栄養を摂取したり、液体すらも通過できなくなると高カロリー輸液と呼ばれる高濃度の点滴(栄養剤)を中心静脈という太い血管から永続的に投与することになります。
そのためQOL(クオリティーオブライフ)の低下が著しく、発見が遅れると非常に予後が悪くなります。
当ブログは医学の専門ブログではないため、食道癌について詳しく知りたい方はご自身で調べてみてください。
食道炎、食道潰瘍など熱い食べ物や辛い食べ物の継続的な摂取、高濃度のアルコール摂取、ストレスなどで起こりやすく、ストレスによるものの代表的なものとしては胃酸が逆流したことで起こる逆流性食道炎が挙げられます。
食道が炎症を起こしている場合はアルロイドGという内用液剤を飲んだり、胃酸を抑える胃薬などを内服して組織の修復を図る治療を行います。
次に胃ですが、代表的なものとして慢性胃炎、胃潰瘍、胃がんの診断に内視鏡が有用です。
実際に私も胃潰瘍になった時に始めて内視鏡を受けましたが、胃が痛いと不安が強くなりますし、最初は胃薬を飲んで何とかごまかしていましたが、胃潰瘍と診断されてむしろほっとしました。
後の項で触れますが、若年者の胃がんの中にスキルス胃がんというものがあるので、20~30代でも低確率で胃がんになる可能性があります。
胃の痛みがある場合は内視鏡検査を受けることを強くおすすめします。
痛みが無くても定期的に内視鏡検査を受けることは無自覚の胃炎・胃がんなどの早期発見につながるため、人間ドックなどのオプションで追加した方がいいと思います。
最後に十二指腸ですが、代表的な物として十二指腸潰瘍があります。
十二指腸は小腸の一部であり、最も胃に近い場所に位置します。
そのため、胃酸の影響などを受けることで潰瘍になることがあります。
十二指腸の癌は稀少であり、絶対数は少ないですが、内視鏡で見つかることもあります。
上部消化管のところすべてに記載したクローン病ですが、これは口腔内から肛門(直腸)までの全域に潰瘍が点在して発生する難病であり、似た疾患に潰瘍性大腸炎がありますが、潰瘍性大腸炎はその名の通り大腸に局在しますので下部内視鏡で見つかることが多いです。
ちなみに、消化管にはポリープと呼ばれる良性腫瘍が見つかることもあり、一般的にポリープは内視鏡で切除可能です。
内視鏡でポリープ、癌病変が見つかった場合には、内視鏡で組織をちぎり取って病理検査をすることもあります。
病理検査は病理医が細胞を診て医学的にどのような細胞なのかを診断する検査であり、悪性であればなるべく早く抗がん剤や外科的切除などの次に治療を行います。
下部内視鏡
上述したように下部内視鏡は直腸と大腸を診る検査なので、主にこの部位で生じる疾患を見つけることができます。(盲腸などを診ることもあります)
①直腸:直腸がん、クローン病
②大腸:潰瘍性大腸炎、大腸がん、消化管出血、クローン病、感染症(CMV腸炎など)、ループス腸炎
下部内視鏡のメインは直腸と大腸ですね。
大腸がんは食の欧米化(高脂肪食)などによって年々罹患者が増えているがんであり、癌患者に占める割合は約15%と最も多くなっています。
内視鏡で治療できるのは早期の状態のみで、進行すると大腸の外科的切除、抗がん剤などによる治療になります。
大腸を切除すると、切除する長さや部位にもよりますが、人工肛門(ストマ)と呼ばれるものを造設し、自分の肛門ではなくストマから排便することになる人もいます。
大腸がん治療の抗がん剤は数多く存在し、治療のエビデンスもそれなりにありますが、こちらも発見が遅れると大腸全摘(亜全摘)+ストマの手術と抗がん剤を行うことになるので、内視鏡で早く見つけるに越したことはないでしょう。
潰瘍性大腸炎は比較的若年に多く見られる難病の腸炎で、大腸に限局して潰瘍(炎症)を起こす疾患です。
血便・下痢・腹痛などが主症状であり、難治性の場合は免疫抑制剤などを用いることもあります。
詳細な原因は不明ですが、過度なストレスがファクターの一つとされています。
腸疾患は自覚症状があるものからないものまで多数存在し、中でもがんは自覚症状がないうちに進行している場合が多いです。
血液検査の腫瘍マーカーが上がっていたから内視鏡を受けたらステージⅣだったなんてことはざらにあります。
ステージⅣになると完治するのは極めて難しく、外科的切除で元の病変を除去できたとしても転移したがん細胞を除去するのは現実的に厳しく、抗がん剤で死滅するのを祈って化学療法を行うほかありません。(放射線や重粒子線などの治療もありますが・・・)
若いうちはがんになる確率は極めて低いので、忙しい毎日の中でじっくり検査をするのが難しいというのが現状だと思います。(私も実際そうです)
ですが、個人的には40歳を超えたら年に1回は内視鏡を始めとした精密検査(人間ドックなど)を受けることを強くおすすめします。
費用は掛かりますが、私はがんを早期に発見できるのであれば安いものだと思っていますし、毎年CT・内視鏡を含めた人間ドックを受けられるくらいに経済的にゆとりを持てるように資産形成と日々の健康管理を心がけています。
ヘリコバクターピロリと胃がん
皆さんはヘリコバクターピロリをご存じでしょうか?
「ピロリ」というワードを耳にしたことがある方はいるかもしれませんね。
ピロリとはピロリ菌のことを指し、正確には「ヘリコバクター・ピロリ」と言います。
ピロリ菌は非常に特殊な菌であり、細菌の中でも数少ない「胃の中で生存できる菌」なのです。
皆さんご存じの通り、人間の胃の内部と言うのは胃酸と言う塩酸(強酸)が分泌される消化器であり、食物をどろどろに消化するほどの強力な酸によって通常細菌類は死滅してしまいます。
余談ですが、食中毒になるような菌は芽胞という殻に籠って胃酸をやり過ごしで小腸や大腸までたどり着いて悪さをしたり、菌自体は死滅しても菌が生成した毒素が酸に強くてそれによって食中毒を起こしたりするので、胃酸ですべての食中毒が防げないのです。
ピロリ菌は昔は汚染された食べ物、水などを介して感染していました。ただ、現在の公衆衛生が整った環境下においては汚染された食べ物・水を介した感染は珍しく、一般的には感染している親から子への口移しで食事を与えたり、スプーンなどの食器を介して感染すると考えられています。
では、ピロリ菌がなぜ胃酸が湧き出る過酷な環境下で生存できるかということですが、ずばり自分の周囲の胃酸を中和する特殊能力を持っているからです。
機序としては、尿素を材料にウレアーゼと呼ばれる酵素を使ってアンモニア(塩基)を生成し、酸を中和するわけですね。
尿素の化学式はCH4N2Oであり、カルボニル炭素にアミノ基が2つ結合した化合物なので、アンモニア(NH3)生成するには非常に都合の良い化合物です。
ウレアーゼは尿素をアンモニアと二酸化炭素に加水分解する酵素であるため、アンモニアを手軽に生成でき、胃酸を中和してピロリ菌の本体を守ることができます。
大半の菌が死滅する胃の中において生存できるということは、その領域を支配したも同然です。
ほかの菌を気にせず栄養を摂取できますから、ピロリ菌の生存確率は高まります。
ピロリ菌も勝手に住み着いて何も悪さをしないのならいいんですけど、こいつは人間に悪さをするので有害な菌とされています。
具体的にどんな悪さをするのかと言うと、ピロリ菌が胃に存在することで胃潰瘍になるリスクが上がります。
通常、胃の内側は胃粘膜という膜によって胃酸で自己消化されないようにガードしているのですが、過度なストレス、解熱鎮痛剤の連用、ピロリ菌の存在などによって胃粘膜が薄くなってしまい、胃酸によって内部がダメージを負った状態が胃潰瘍です。
胃潰瘍は強い胃の痛みを伴い、空腹時、食後問わず心窩部(みぞおち)がずきずきするのが特徴です。
治療法としては胃酸分泌を抑える薬(PPI、H2ブロッカー)や胃粘膜を増強する薬(レバミピド、スクラルファートなど)を内服することになります。
内視鏡で胃潰瘍が見つかった時は、胃がんの除外なども兼ねて生検(潰瘍の組織を内視鏡でちぎり取ってくること)を行い、病理診断をすることもあります。
また、採血にてヘリコバクターピロリIgG(抗体)を測定することも多いです。
理論上、抗体が検出されればピロリ菌がいることの証明になりますので、ピロリ菌がいた場合には、ピロリ菌の除菌療法を行う必要があります。
ピロリ菌の除菌にはPPI(プロトンポンプ阻害薬)と呼ばれる強力な胃酸分泌抑制薬に加えてアモキシシリン、クラリスロマイシンと呼ばれる2種類の抗生剤を併用して治療します。
上記の一次治療で除菌失敗した場合は二次治療としてPPI+アモキシシリン+メトロニダゾールの処方で治療を行います。
ちなみに一時治療でも二次治療でも除菌成功率は7-8割とされています。
除菌に成功したかどうかはユービット®と呼ばれる放射性炭素(13C)を含有した尿素の錠剤を内服し、ピロリがいれば尿素が分解されて放射性炭素(13C)を含んだ二酸化炭素(CO2)が呼気から検出され、いなくなっていれば検出されないという呼気検査を行います。
※出番は少ないですが、便検査(ピロリ菌抗原検査)も診断方法として存在します。
ピロリ菌感染は胃がんの罹患確率を有意に上昇させることが研究にて明らかにされており、その機序としてはピロリ菌がいることによって起こる慢性的な胃炎(萎縮性胃炎)が原因とされています。
萎縮性胃炎とは通常のストレスなどによる胃炎とは異なり、ピロリ菌感染している方に非常に多い胃炎です。
がんと言うのは細胞が損傷され、それを修復する過程で誤った細胞増殖を起こし、無制限に増殖する細胞になったものですので、慢性的に胃炎を起こしているとそれを修復しようと胃の壁細胞などが頑張りすぎて、結果的にがん細胞に変化してしまい胃がんに至ります。
※ピロリに感染した人が必ず胃がんになるわけではありません。
そのため、萎縮性胃炎を放置するのは胃がんのリスクを高めてしまうので、胃の痛みなどがある場合は市販薬で何とかしようと思わず、内視鏡を受けられる医療機関を受診することをおすすめします。
私も実際に胃潰瘍になり、上述してきたような検査を行いました。
採血検査にてピロリ菌抗体も陽性だったので、一時除菌も行いました。
幸い一時除菌で除菌成功しましたが、その後も胃の痛みが続いたため半年近く胃薬(タケキャブ®)を内服しました。
私の場合、仕事のストレス、痛み止めの長期連用、コーヒーの飲みすぎ、ピロリ菌感染と胃潰瘍になるべくしてなったような感じもしますが・・・
初期症状としては寝ていた時に急に胃がきゅ~と握りつぶされるような痛みに襲われ、すぐに手持ちの胃薬を数日内服して様子を見ていたのですが、一向によくなる気配がなかったので、勤め先の消化器内科を受診し、すぐに次の日に内視鏡を受けて胃潰瘍の診断となりました。
実際に自分のカルテを見ましたが、内視鏡レポートには萎縮性胃炎と書かれていました。
念のため組織の生検もしてもらい、3割負担でも7000円くらい掛かりましたが、組織診断でも悪性所見なしとのことで胃がんも否定できました。
先生からは、ピロリ菌の検査入れとくんで、結果出て陽性だったら連絡くださいと言われていたので、セルフで電カルで検査結果を確認し、案の定陽性だったので除菌療法を始めました。
一次治療によく用いられるのはボノサップパック®と呼ばれる上述した薬がセットになっているもので、胃薬のボノプラザン、抗生剤のアモキシシリン、クラリスロマイシンが1週間分パッケージされており、それを飲み切れば除菌終了というものです。
ピロリ除菌薬の副作用で最も多いのが下痢なのですが、私も例外なく下痢になりました。
1週間飲み切れば終わりだからと我慢して飲みましたが、途中でやめてしまう人が一定数いる理由が分かった気がします。
除菌完了後も半年は胃薬を続け、1年後に胃潰瘍になっていないか、以前の胃潰瘍が治っているかの確認目的の内視鏡を受け、無事治療が完了しました。
ただ、2回目の内視鏡を受ける前から慢性的に胃の不快感が続いており、それの原因は内視鏡ではわかりませんでした。
先生からは「機能性ディスペプシアですかね~」と言われ、じゃあ六君子湯(ツムラ43)を出してくださいと要求してしばらく内服していたらいつの間にかよくなっていました。
余談ですが、胃潰瘍になってから持病の腰痛に対する痛み止めを非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)からオピオイド受容体刺激薬であるトラマドール(NSAIDsより強い)に変更しており、それによる消化器症状だったことも勝手に予想していました。
NSAIDs(ロキソニンなど)は胃粘膜を減らすことで胃潰瘍のリスクを高めてしまうので、内服する時は胃薬も一緒に飲みましょう。
また、長期で内服する時は空腹時内服を避け、必要以上に飲まないことを強くおすすめします。
ピロリの除菌は処方された薬をきっちり飲み切ることで成功確率を最大限上げることができるので、下痢が辛くても市販の整腸剤を飲みながらでも飲み切った方がいいと思います。
(※かゆみなどのアレルギーが出た場合はすぐに内服を止めて医療機関を受診しましょう)
スキルス胃がんについて
通常、胃がんの好発年齢は60歳代とされており、その前後(50代、70代)でもかかる可能性があります。
まあ要するに中年以降に発症しやすいのですが、胃がん全体の内約15%を占めるスキルス胃がんと呼ばれる胃がんにおいては若年(20~30代)でも発症することがあります。
スキルス胃がんの5年生存率(見つかってから5年間生きられる確率)は15~20%とされており、予後が厳しいがんと言えます。
はっきりとした原因は分かっておらず、特有の遺伝子変異などが関わっていると考えられています。
そのため、生活習慣を気を付けたりピロリ菌の除菌をしたとしても一定の確率で発症してしまう恐ろしいタイプの胃がんです。
近年スキルス胃がんで亡くなられた方として、バレーボール元日本代表の藤井選手がおりました。
1992年生まれの方で、ご存命であれば現在33歳でしたが、2023年に31歳の若さでご逝去されました。
2022年2月にステージⅣの胃がんと診断され、約1年後に亡くなられていることを考えると、若年胃がんの進行の速さ、治療奏効率の低さが伺えます。
私も中学の時にバレーボールに打ち込んでおり、日本代表の試合も見ていましたので、亡くなったこと知った時は非常に驚きました。
それと同時に、喫煙もせず、スポーツ選手という運動を日常的に行い、生活習慣も恐らく整っていた方であっても、がんの発見が遅れると非常に予後が悪いこと、若年であっても胃がんを発症するという事実に驚愕し、自分の胃の痛みに強い不安を覚えました。
幸い私はがんではありませんでしたが、自分がそうなっていてもおかしくはないと考えると恐ろしいですよね。
確率が低いとはいえ、実際になっている人を見ると、やはり自覚症状が無くても定期的に内視鏡を受けた方がいいと思えてきました。
(上部)内視鏡を受けた感想
私は実際に上部内視鏡検査を2回受けました。
受けた感想を一言で言うと・・・「めちゃくちゃ辛い!!!」
今まで受けた検査の中でもダントツトップで辛かったです。
内視鏡を受ける場合にはセデーション(鎮静)ありと無しのパターンがあります。
セデーションとは、鎮痛薬や睡眠導入剤を点滴することで、痛みを感じなくしつつ少しうとうとしているような感覚になる処置であり、内視鏡検査の苦痛を和らげる目的で施行されます。
通常、セデーションをかけると車を運転できなくなったり、当日は仕事もままならないため、全例行うわけではありません。
私は業務中に少し抜けて内視鏡を受けたためセデーションをかける選択肢がなく、2回ともなしで検査しました。
検査自体は約10分程度で終わりますが、検査の前に喉に麻酔をするために麻酔薬を喉に留まらせ、麻酔が効いてきたらいざ検査開始と言った流れです。
もうこの麻酔の時点で辛いです。
喉の感覚がなくなり、唾液を飲み込むと変な感覚があり吐きそうになります。
その状態で検査室に向かい、ベッドに横になってから検査が始まります。
看護師さんに体を抑えられながら医師が内視鏡を挿入していきますが、喉を通るときは麻酔をしていても必ず嘔吐します。(多分)
その後唾液と涙をダラダラ流しながら食道を通って胃の中へ行き、空気を入れて胃を膨らませたり、染色液を噴霧してコントラストを付けて潰瘍を見つけやすくしたりといろんなことをされ、一頻り検査が終わったら内視鏡を抜いて検査終了となります。
看護師さんは優しく声をかけてくれますが、もう圧倒的な醜態を晒しているのでそれも精神的に辛いですね(笑)
2回目は少し慣れたので嘔吐も減らせましたが、口で呼吸できず、唾も呑み込めないので無意識にパニックになり、初回は何度も嘔吐反射を起こして検査に時間を要してしまいました。
イメージで言うと、数分間常にオェーーーーっと吐き続ける感じですね。
反射でうずくまってしまい、体に力が入るので内視鏡の操作が上手くできず、余計に辛い時間が延びてしまうんですよね。
個人的には人間ドックなど完全に検査用に1日用意できれば必ずセデーションしたいです。
また、2回目は消化器内科医ではなく、若い救命医の練習台にされたので、喉を傷めて2週間くらい喉に口内炎ができて痛かったですね。
でも後悔はしていないです。
ちなみに、内視鏡で苦しいかどうかは医師の腕にもよるそうなので、セデーションなしでも苦しくさせない腕を持っている医師もいるようです。(私は出会えませんでした)
内視鏡を受けたおかげで胃潰瘍が見つかったし、生検できてがんも否定できて、ピロリの除菌にも繋がったので本当に受けてよかったです。
車で通院しなければならないとかでなければ、セデーションはした方がいいと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は私の実体験を交えて内視鏡の重要性を解説してきました。
様々な検査方法が確立されている現代医療においても、実際に目で見ること、組織を取って病理に出すことがどれほど重要なのかを思い知らされます。
内視鏡以外で消化器癌を見つけるのは難しく、腫瘍マーカー、エコー、CT(PETーCT)などではある程度腫瘍が大きくなっていなければ見つけられないので、早期発見には繋がりにくいのが現状です。
消化器癌は早期発見できれば内視鏡的切除、外科的切除で完治を望めますが、ステージが進むと予後が悪くなり、抗がん剤が効いたとしても長い闘病生活を余儀なくされます。
現代では2人に1人ががんになる時代と言われていますから、自分ががんになるかもしれないという覚悟はある程度必要であり、それ相応準備・対策をしておくことが大切です。
ちなみにがん保険は入らない方がいいと個人的には思います。
理由はこちらの記事で詳しく解説していますので興味があればぜひご一読ください!
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