「薬剤師国家試験、ストレートで合格できるか不安…」
「もし留年や国試浪人になったらどうしよう?」
薬学部の6年間は長く、誰もが途中で不安を感じるものです。
実際、多くの学生が知らず知らずのうちに“落ちる人の特徴”に当てはまってしまい、再受験の道に進んでしまいます。
特に一度不合格になると、合格率が大きく低下するという厳しいデータもあります。
この記事では、ストレート合格した現役薬剤師の視点から、「薬剤師国家試験に落ちる人の共通点」を8つ徹底解説します。
病院薬剤師8年→現在は医薬品情報(DI)業務に従事。
公的資料・ガイドラインを基に情報を精査する業務を担当。
薬学生・薬剤師向けに現場視点で情報発信。
▶プロフィール
・なぜその行動が合否に影響するのか(薬剤師の視点で解説)
・各特徴への具体的な対策
目次
まず知っておくべき「合格率の現実」
薬剤師国家試験の合格率は、新卒と既卒で大きく差があります。
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 全体 | 12,774人 | 8,749人 | 68.49% |
| 新卒 | 7,781人 | 6,711人 | 86.25% |
| 既卒 | 4,871人 | 2,013人 | 41.3% |
厚生労働省資料:第111回薬剤師国家試験結果より抜粋
つまり、一度落ちてしまうと翌年の合格率は半分以下になります。これは「モチベーション維持が困難」「環境が変わる」「勉強ペースを作りにくい」など複合的な理由によるものです。
だからこそ、「落ちる人の特徴」を事前に知り、対策を打つことが重要なのです。
薬剤師国家試験に落ちる人の8つの特徴
①勉強の開始が遅い
国試勉強を「6年生の秋から始めれば十分」と考えている人は要注意です。
薬剤師国家試験の出題範囲は9科目にわたり、膨大な量の知識が必要です。私の周りで国試に落ちた人の多くが「もっと早く始めればよかった」と後悔していました。
4月からコツコツ始めた人と、10月から始めた人では180時間以上の差が生まれます。この差は「追い上げ」だけでは取り戻しにくいのが国試の特徴です。
目安として6年生の4~5月には基礎固めをスタートさせ、9月から本格的な総復習フェーズに入るペースが理想的です。
②必須問題の対策を軽視している
国試には「必須問題」という科目があり、これには各科目で一定割合の正答が必要という「足切り」が設定されています。
総合点が合格ラインを超えていても、必須問題の足切りに引っかかれば即不合格です。
必須問題は5者択一で比較的難易度の低い問題なので、理論問題対策をしていれば基本的に安定して得点できます。
ただ、苦手科目をノータッチでいると、必須問題と言えど点が取れない可能性は大いにあります。
苦手科目でも必須問題だけは確実に解けるよう、早めに基礎固めを優先してください。必須問題は得点源にもなり、きっちり対策すれば強い味方になる存在です。
③青本を「読む」だけで演習をしない
勉強熱心な人ほど陥りやすい罠がこれです。
青本(参考書)を丁寧に読み込んで、ノートにまとめて・・・という勉強法は「インプット」に偏りすぎています。
国試はアウトプット(問題を理解し回答を出力する力)があってこそ得点できます。
どれだけ知識を持っていても、問題形式になれていなければ本番で点が取れません。
勉強時間の6割以上を演習(問題を解く)に充てることを意識してください。青本は「辞書的に使う」ものと割り切るのが時間を有効活用するコツです。
私自身、まずは過去問を解くところから勉強を始めました。
青本の章末にも過去問や改変問題がありますので、まずそちらを解き、自分の理解度や習熟とを把握してから章の内容を参照することで、すでに理解している部分を何周もしないよう工夫していました。
④1科目に深入りしすぎている(完璧主義の罠)
これも「真面目な人ほどハマる罠」の代表例です。
「薬理が苦手だから完璧にしてから次へ進もう」「得意な生物で満点取れるまで極めてから次の科目にいこう」という思考は危険です。
1科目を完璧にするより全科目を70~80%の制度で抑える戦略が合格への近道です。
1科目に時間をかけすぎると、ほかの科目が手薄になり、それがまた別の足を引っ張ります。
真面目で責任感が強い人ほどこの罠にはまりやすいので注意してください。
国試は完璧を求められるテストではありません。
1周目は完璧を目指さずに全範囲を回すことを優先する。苦手科目は2週目以降で集中的に対策する。「広く浅く→適宜深く」の順番を徹底する。
⑤模試の結果を活かしていない
薬ゼミの統一模試などを受けた後に点数に落ち込むだけで復習をしないというパターンは非常にもったいないです。
模試は「自分の弱点を可視化するための道具」です。
点数ではなく、どの科目・どの分野で間違えたのかを分析し、次の勉強計画に反映させることが重要です。
模試をPDCAサイクルの起点として使えるかどうかが合否を分ける大きなポイントです。
⑥勉強仲間・環境の選択を間違える
私は薬学部の6年間、5人グループで常に行動していました。
そのグループ全員がストレートで国試に合格しています。これは偶然ではないと思っています。
勉強の進め方、情報共有、模試の点数の報告をしあうことで生まれる適度な緊張感・・・こういった環境があるかどうかは、想像以上に合否に影響すると考えます。
反対に、勉強に消極的な先輩や留年を繰り返している人と多くの時間を共にしていると、知らないうちにペースを乱されることがあります。
最終的には自分との闘いになりますが、一人で勉強を続けるのはそれなりの強い精神力が必要であり、切磋琢磨できる友人がいることは国試合格に重要だと個人的には思います。
「悪い環境」は本人が気づきにくいのが特徴です。定期的に自分の勉強時間・勉強内容を振り返る習慣を持ちましょう。
⑦5・6年生の実習期間を軽視する
5年生の実務実習(約半年)と卒業研究の時期は「国試の勉強ができない期間」ととらえている人が多いです。
確かに卒業研究については研究室の方針と自分の本気度によっては勉強する時間が取れないケースもあります。
しかし、実務実習の期間は実務×座学を同時に強化できるゴールデンタイムです。
国試の実践問題は実務で必要となる知識が問われますが、実務実習では実践問題で役に立つ内容を身体で学ぶことができます。
座学だけではわからない「現場で求められていること」を指導薬剤師や患者さんから学ぶことができる貴重な機会です。
半分仕事のような側面があるのでしんどい部分もありますが、実習での経験は必ず国試の時に力になってくれます。
私も大学病院で学生の指導をしていた時は「なぜこの処方になっているのか?」「身体の中で何が起こっているのか?」を考えさせ、「ではどうすればいいのか」というアクションプランを出せるように教えてきた経験があります。
これは自分の復習にもなりますし、学生の記憶にも定着しやすい勉強法だと思っています。
まさに「百聞は一見に如かず」です。
実習中でも1日30分はその日にあったことを復習しましょう。「鉄は熱いうちに打て」というように、すぐに復習することで長期記憶に落とし込むことができます。
⑧メンタル管理ができていない
勉強量・知識量が十分でも、本番のプレッシャーや長期の受験生活の中でメンタルが崩れてしまうケースがあります。
模試や定期テストでうまくいかないたびに極端に落ち込み、勉強のペースが乱れてしまう人は要注意です。模試はあくまでも練習です。
「ここまで頑張ってきた自分なら大丈夫!」と自分に言い聞かせる意味でもある程度の勉強時間を投下することが重要です。
日々のルーティンを崩さないこと、十分な睡眠時間と休息を確保することがメンタルの安定につながり、勉強の質を向上させます。
頑張ってきた自分に自信を持つ。少しつまづいたときは得意科目の過去問を周回して自信をつけるのも手です。規則正しい生活リズムと十分な睡眠はマスト。
まとめ:8つの特徴を振り返ろう
薬剤師国家試験に落ちる人の共通点を改めて整理します。
- 1.勉強の開始が遅い
- 2.必須問題の対策を軽視している
- 3.青本を「読む」だけで演習をしない
- 4.1科目に深入りしすぎている
- 5.模試の結果を活かしていない
- 6.勉強仲間・環境の選択を間違える
- 7.5・6年生の実習期間を軽視する
- 8.メンタル管理ができていない
1つでも当てはまる項目があれば、今日から意識して変えてみてください。まだ間に合います。
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